日本人の宗教観は本当におかしいのか?
子が生まれると神社でお宮参り、死ぬときはお寺で葬式。クリスマスにはキリスト教、新年明けると明治神宮に伊勢神宮にお参りし、ヨガブームでお寺でヨガをする。。。
時に節操がない、なんていわれる日本人の宗教観ですが、本当に節操がないんでしょうか。
そもそも国内の伝統を見ても、お寺と神社の仏教と神道が同居している国ということで、その違いも加えて、宗教観についてまとめてみました。参考書籍つきでどうぞ。
目次
【世界の宗教】西洋の宗教と日本(東洋)の宗教の違いとは?
西洋の宗教というと、キリスト教(とユダヤ教)、そしてイスラム教ですよね。ここではその宗教についてのみざっくり語ります。
時には対立するそれらの宗教ですが、同じ神様を信じているんです。その神とは唯一神、この世界を作った創造主です。
それに加えて、キリスト教徒は、”神の子”であるキリストを神格化します。一方、イスラム教徒は”ムハンマド”が預言者として神の声を届けたのです。決定的な違いは、イスラム教徒はムハンマドを尊敬こそすれ、神格化はしていないのです。
いずれにしても、西洋の宗教は、どれもただ一つの神を信じていて、にも関わらず、原則その他の宗教は否定する、という文化なんです。
一方東洋の宗教は原則多神教です。自然の万物に神が宿る、八百万の神、なんて言葉で表されますよね。神はたくさんいるので他の宗教をも受け入れやすいのです。
ポイント
西洋=一神教(厳格。他の神宗教を受け入れにくい)
東洋=多神教(適当。他の宗教何でもOK)
【日本の宗教】仏教と神道の違いって?
ここからは日本の宗教について見ていきます。
まず、仏教に関して。
仏教はヒンドゥー教を基に作られたと言われており、多神教の世界観です。世界を創った神様は存在せず、世界の終わりも始まりもありません。ただ移り変わる時空、場があって、一度として同じものはない。
それらはただ流れているものだから、考える必要ない、今ここにあるものに集中し、煩悩に囚われないようにしよう、というような、実践的な考え方です。最終的には仏教にさえも囚われるな、という教えもあるのだから底が知れない。笑
次に、神道。
神道における神様とは?それは八百万の神、ということで自然界のあらゆるものに宿っている、という考え方なのです。
そして、驚くべきは、祖先の霊そのものも神様として崇めているのです。死ねばその家の神様となる。ただしその家の人にだけ。たくさんの人が認めた死人に関しては、みんなの神様になれる。ここがポイントで、乃木将軍など、国家のために戦った英雄、的なポジションの人も神様として奉られたりするんですよね。
第二次世界大戦敗戦後は、そのような風習もなくなりつつありますが、この辺りの解釈は国学者にもよるというアバウトなところです。
お寺と神社が融合しちゃった歴史もあるユルい日本
現代に生きる日本人は、お宮参りは神社にお詣りし、葬式にはお寺のお坊さんに頼むという融合性はイケないことなのでしょうか。歴史を振り返ってみるとアウトなのでしょうか?
いえいえ、そんなことはありません。古くは奈良時代に『神宮寺』と呼ばれる寺がたくさん建てられました。神仏融合と言って、人も、神様も解脱を求めている(苦しみの多い現世の輪廻から逃れ出ること)という解釈です。昔から神道と仏教は共存していたんですよね。そこに日本人の懐の深さがあると思うんです。
他社を排除せず、共存していく。
世界の始まりも終わりもよくわからないから、いま、ここに集中する。
そんな考え方がごちゃ混ぜになったのが、日本の宗教性なのです。
おわりに
世界的に見ても得意な日本の宗教性は、争いの絶えなかった大陸の人々の心の拠りどころというよりかは、争いの少ない島国だからこそ根付いた”生き方”なのかもしれません。
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