京都の大学生活を元に描くファンタジー・SF・青春小説の名手!
2003年、在学中に執筆した『太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、小説家デビューする。2006年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞、本屋大賞(2位)などを受賞し注目を集め、国立国会図書館職員との兼業作家として執筆活動を続けていた。現在は退職し、専業作家である。
2006年、会社の枠を超えた書店員有志による応援団「深見組」が結成されており、独自の販売促進が行われている。オリジナルの販促グッズ等が用意され、フリーペーパー(『夜は短し歩けよ乙女』、『【新釈】走れメロス 他四篇』:まなみ組加入書店員の勤務書店店頭にて無料配布、非売)も発行されている。
なお2011年8月より、体調不良のため(本人ブログによれば、締切を増やしすぎたことが原因)作家としての活動を一時休止していた。2013年、3年ぶりとなる長編小説『聖なる怠け者の冒険』を上梓。
●●受賞歴●●
2003年 『太陽の塔』第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞
2007年 『夜は短し歩けよ乙女』第20回山本周五郎賞受賞
2010年 『ペンギン・ハイウェイ』2010年日本SF大賞受賞
2014年 『聖なる怠け者の冒険』第2回京都本大賞受賞
森見登美彦の小説を読んでいて一番すごいなーと思うのは、京都にめちゃくちゃ行きたくなること。いや、行きたくなるどころか、住みたくなるんですよね。
それくらい、京都を魅力的に描きます。しかもリアルに描くんじゃなくて、京都の持つ歴史性や、学生の腐り具合、華やかなお祭り、きらびやかな街並みを、幻想的、むしろファンタジーとして描くのが、めちゃくちゃうまい!
ちなみに、京大生だった自分の(一部)をモデルにしたであろう登場人物がしょっちゅう出てきますし、自分自身の体験と、妄想から物語は生まれているんだろうなというのがひしひしと伝わる、温かみのある小説を書く作家です。へっぽこ学生が主人公なことが多いし、うじうじしてる文学少年少女達には絶対ツボるはず!
この記事では、 そんな森見登美彦のおすすめ小説10作をランキング形式で紹介します!
目次
森見登美彦おすすめ小説ランキング
- 独自ランキング
- 主観に基づいていますが、ある程度読みやすさも考慮
- クリックするとamazon・楽天に飛べます
それでは早速ランキングどうぞ!
10位 恋文の技術
京都の大学院から、遠く離れた実験所に飛ばされた男が一人。無聊を慰めるべく、文通修業と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。文中で友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れるが、本当に想いを届けたい相手への手紙は、いつまでも書けずにいるのだった。
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とにかく。手紙を書きまくる。書きまくるのだけれども、本心は隠しまくっているように見える。けれども実は本音もたくさん入っている、そして手紙メインでどんどん話が進んでいく、という少しトリッキーな作品です。
構成も、展開も正直言って、かなり名作に数えられると思うのだけれども、いきなりこれ読むのはなぁ、という感じ。森見登美彦作品をたくさん読んでからが良いはず。
というのも、他の作品につながるエピソードもあるので(森見登美彦本人が出てるし)他のから読んでいってほしいです。
9位 四畳半神話体系
私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。
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パラレルワールド(並行世界)という枠組みを取り入れることで、物語の奥行きを広げた青春小説。
『子どもは可能性に満ちていて、無限の可能性がある』と言われますが、大学生ぐらいになってくると、だんだんと可能性がどんどん狭まっていくんですよね。何かを捨てないと、何かは得られないということが前提の日々になっていく。
社会人になるとそれは顕著になっていきます。会社員になってしまうともう可能性に満ち溢れた、なんて言葉とは無縁になっていくのです。そういう意味では、まだ可能性が残されている大学生という時点でパラレルワールドで、人生あったかもしれない選択肢を見ていく、というのはおもしろい視点ではあります。
大人になってしまったら、次の世代に可能性を託していくことしかできなくなっていくんだよなぁ。それは子どもであったり、生徒であったり、部下であったり、そして読者だったりするんだろうなぁと。
ただ、内容自体は(実際にアニメ化もされていますが)ちょっとアニメっぽい・安っぽいところがあって、踏み込み切れていないという印象も。
8位 宵山万華鏡
一風変わった友人と祇園祭に出かけた「俺」は“宵山法度違反”を犯し、屈強な男たちに捕らわれてしまう。次々と現れる異形の者たちが崇める「宵山様」とは?(「宵山金魚」)目が覚めると、また宵山の朝。男はこの繰り返しから抜け出せるのか?(「宵山迷路」)祇園祭宵山の一日を舞台に不思議な事件が交錯する。幻想と現実が入り乱れる森見ワールドの真骨頂、万華鏡のように多彩な連作短篇集。
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短編集ですが、2作ずつ対になっている構造が楽しい作品です。
ただでさえ京都は日本の中でも特別な個性を持った街だと思います。そんな京都個性が更に森見登美彦によって幻想的に強められて、行ったことない人は絶対に行きたくなるはず!
ただし、若干個性が弱めな作品が多いので、初見の方はまずは他の作品から読むのが良いです。
7位 夜行
『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』『きつねのはなし』代表作すべてのエッセンスを昇華させた、森見ワールド最新作!旅先で出会う謎の連作絵画「夜行」。この十年、僕らは誰ひとり彼女を忘れられなかった。
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全編を通して夢の中にいるような幻想的な描写が続き、”世界はずっと夜”というのが伝えたいことなのだということは伝わってきます。
ホラー的要素もあり、ミステリー的要素もあり、なのですが、どこかすがすがしい青春感が漂うのは、森見登美彦の筆力のせいでしょうか。2016年の新しい森見登美彦ワールドが味わえます。
6位 きつねのはなし
「知り合いから妙なケモノをもらってね」篭の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという“家宝”を持った女が現われて(「水神」)。闇に蟠るもの、おまえの名は?底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。
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奇談集と言っていい一作。
キラキラとした幻想的で美しい京都の世界観の描写がうまい森見登美彦ですが、京都の日常、土らしい面に光をあてています。作品同士がつながっているようでもあり、歪んで関連しているようでもあり、まさにきつねにつままれたような気になる話が詰まっています。
5位 ペンギン・ハイウェイ
小学四年生のぼくが住む郊外の町に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした。未知と出会うことの驚きに満ちた長編小説。
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本作では腐れ大学生が主人公ではなく、小学生が主人公です。舞台も京都ではありません。森見登美彦の持ち味である、幻想的で幽玄的とさえいえる描写は少ないです。
それを目当てにしているファンには物足りないかもしれませんが、作品としてはめちゃくちゃ良いです。
スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』を、森見登美彦風にアレンジするとこんな風になるのかな、なんて。ならないか。
4位 有頂天家族
第20回山本周五郎賞受賞第一作!著者が「今まで一番書きたかった作品」と語る渾身の作。偉大なる父の死、海よりも深い母の愛情、おちぶれた四兄弟……でも主人公は狸?! 時は現代。下鴨神社糺ノ森には平安時代から続く狸の一族が暮らしていた。今は亡き父の威光消えゆくなか、下鴨四兄弟はある時は「腐れ大学生」、ある時は「虎」にと様々に化け、京都の街を縦横無尽に駆けめぐり、一族の誇りを保とうとしている。敵対する夷川家、半人間・半天狗の「弁天」、すっかり落ちぶれて出町柳に逼塞している天狗「赤玉先生」――。多様なキャラクターたちも魅力の、奇想天外そして時に切ない壮大な青春ファンタジー。
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アニメ化もされた一作。
タヌキが主人公という奇想天外なファンタジー小説。それぞれのキャラクターがおもしろくて、個人的にはコメディと言ってもよい内容だと思います。
何にでも化けまくる狸。アホすぎる狸。人間味がにじみ出ている狸。かわいすぎです。
3位 太陽の塔
私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
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最近ではテレビでも京大生の変わった生活が映される番組なんかもありますが、理系の京大生ともなると、変わった人が多いんですよね。
変わった京大生をリアルに描くとマジックリアリズムになる、なって著者自身が言うように、世間とのズレを描くことでとてもおもしろい仕上がりになっています。
森見登美彦は、いわゆる『腐れ大学生』を多く登場させていますが、森見登美彦自身がそんな学生だったんだろうな、って思いますけどね。笑
2位 聖なる怠け者の冒険
社会人2年目の小和田君は、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら夜更かしをすることが唯一の趣味。そんな彼の前に狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」なる人物が現れて…。宵山で賑やかな京都を舞台に果てしなく長い冒険が始まる。
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最高にばかばかしい。笑(褒めています)正義の味方になるのを断る怠け者のサラリーマンが主人公っていう。
読むと、ゆるーい空気感のせいか、いかに怠けるか、そもそも怠けるとは?そんなことをずっと考えてしまいます。ゆったりと生きていたいものです。。。やっぱりヘボ男を描写させたら森見登美彦最強だなぁと思いますね。
初期の作品とうっすらつながりがある、比較的新しい作品ではあるものの、森見登美彦の魅力が存分に詰まっています。この作品から読むのもありです!
1位 夜は短し歩けよ乙女
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。
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この作品で一気に森見登美彦はブレイクしました。
私も初めて読んだときは衝撃的なおもしろさにビビりました。 むちゃくちゃ読ませる文章なんですよね。きらびやかだし、ふざけているのに知的な要素もあるし。
恋愛のむずむず感は若者向けではあるものの、大人も十分楽しめます。というか懐かしめます。京都っていいなーと心から思っちゃうはず。なんていうか、こんな青春したかったなーみたいな感じ?青春ってなんだったっけ?ってなっている大人の方々、意外と楽しめると思いますよ。
超オススメです!
おわりに
森見登美彦おすすめ小説10作をランキング形式で紹介しました!
久々に読み返してみると、ヘッポコ男が主人公っていうパターン多いなぁ。自分自身をモデルにしているんでしょうか、エリートコースをひた走っているように見える森見登美彦ですが、小説家になるなんて、やはりどこか病んでしまっていたんでしょうねぇ。それが小説のおもしろさになっているのでしょうが。
幻想的でちょっと不思議なお話が好きな人は必読です。