きゃすのキラキラブログ

好きなもの/ことを布教するブログ ゲーム会社員が書いてる

町田康を読むならこの15冊!アウトサイダーのためのパンク魂

スポンサーリンク

町田康って何者?

大阪府堺市出身。1981年、バンド「INU」のボーカリストとしてアルバム『メシ喰うな!』で歌手デビュー。同バンド解散後もさまざまな名義で音楽活動を続けるかたわら、俳優としても多数の作品に出演。

1996年には処女小説「くっすん大黒」で文壇デビュー、2000年に小説「きれぎれ」で第123回芥川賞受賞。以後は主に作家として活動している。 

○受賞歴と代表作○

ドゥマゴ文学賞(1997年)くっすん大黒
野間文芸新人賞(1997年)くっすん大黒
芥川龍之介賞(2000年)きれぎれ
萩原朔太郎賞(2001年)土間の四十八滝
川端康成文学賞(2002年)権現の踊り子
谷崎潤一郎賞(2005年)告白
野間文芸賞(2008年)宿屋めぐり

町田康 - Wikipedia

パンクミュージシャン町田康。彼の書く小説もまたパンク魂全開です。

彼の描く主人公たちは、確固たる正義を持っているのです。ただし、それはいわゆる世間的な常識からズレていることもしばしば。

彼らはしばしば社会に対して彼らなりの正義を貫きます。けれど、いつも割を食うのは弱者のさだめ。『敵』はあまりに巨大で狡猾で、冷徹なのです。

さて、ここで質問です。

路地裏で追われる華奢な美女(弱者)と追うサングラスにタトゥーの屈強な男たち(強者)、我々はどちらに感情移入をするでしょうか。

もちろん華奢な美女ですよね。

そこが町田康のパンク魂が炸裂しやすい所以です。彼は巧みに主人公たちをいたぶります。理不尽な暴力や権力で痛めつけるのです。我々の中に怒りを芽生えさせ、『くたばれ社会の権力に酔った豚ども!我々はもっと純粋に人間として生きたいんだ!』という気にさせるのが、本当に上手い。

私は、町田康を読んでると、確実に怒りで熱くなってしまいます。笑

この記事では、パンクな町田康のおすすめ小説15作をランキング形式で紹介します!

目次

 

おすすめランキングベスト15! 

ランキングポリシー

  • 独自ランキング
  • 小説が対象
  • 初心者・未読者への配慮も合わせて表記

 

それでは早速ランキングどうぞ!

15位 ゴランノスポン

 

最高ってなんて最高なんだろう。僕らはいつも最高だ。明日またくる朝。浅漬――。現実から目を逸らし、表層的なハッピー感に拘泥する表題作「ゴランノスポン」。自らの常識を振りかざす人間の暴力性を浮かび上がらせ、現実に存在する歪みを描く「一般の魔力」。現代と中世が書物を介して烈しく混ざり合う「楠木正成」他、秘蔵小説7編を収録。笑いと人間の闇が比例して深まる、傑作短編集。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101319332

約10年間の短編7線を集めた作品集。

町田康の文体、ふざけながら真理をついてくるというのがさくっと味わえます。『こんなムカつくやついる!』と、笑えるとともにぞっとする、そんな作品が多いかな。

14位 この世のメドレー

 

世界を睥睨し超然と生きよう。余を名乗り、生死を乗り越え、超然の高みに到達したはずだった。しかし超然境に浸る余を、ひとりの小癪な若者が、破滅への旅へ誘い出す。存在を賭した言葉の攻防。待ち受けるのは地獄か、それとも…。「どつぼ超然」待望の続編。
https://www.amazon.co.jp/dp/4620107867

『どつぼ超然』を読んでから読みましょう。 脱力感MAX。

 

13位 どつぼ超然

 

明るすぎるし、見晴らしがよすぎる。どうも死ににくい。 飄然から超然へ。世界を睥睨する町田文学の新境地。
https://www.amazon.co.jp/dp/4620107581

力抜けます。

このような作品から先に読み始めてはいけません。一方、町田康ファンは安心して読んでください。いつも通り最高に舐めた作品なので。

12位 夫婦茶碗

 

金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。それはメルヘン執筆。こんな〈わたし〉に人生の茶柱は立つのか?! あまりにも過激な堕落の美学に大反響を呼んだ「夫婦茶碗」。金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカー(愛猫家)の大逃避行「人間の屑」。すべてを失った時にこそ、新世界の福音が鳴り響く! 日本文藝最強の堕天使の傑作二編。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101319316

もうね、ホント、いい。

世の中、頑張れない人間の方が多いんだし、頑張る人が世の中を回していけば良いんだし、堕落したっていい。ダメでいい。いいんですよ。町田康は心の底からわかってる。

あれ?なんか偉い人たちって窮屈。頭は良いってみんなが言うけれど、命の大切さだとか、愛の大切さだとか、当然なこともわかってない。そんなことありませんか?

ぐれてやればいいんですよ。町田康はアウトサイダーの味方です。

これから読み始めるのもアリという人も多いです。

11位 人間小唄

 

劣化する感性を粉砕する、破壊力抜群の傑作長編! こいつを潰すのは俺の使命。俺の勇気。そして希望。 青雲。ラララ、君が見た光。 小角が書き送った短歌を自分の文章に無断で引用した作家・糺田両奴。国民の無意識に影響を及ぼして駄目にする奴の文学を根底から破壊する! こちらの世界に拉致してきた糺田に課した難題は、「一、短歌を作る。二、ラーメンと餃子の店を開店し人気店にする。三、暗殺」。それは魂のテロルの始まりだった。
https://www.amazon.co.jp/dp/4062777428

何も考えずに笑い飛ばしながら読む小説って最高じゃないですか?

高尚な精神世界だとか、意識の流れだとか、そんなのも良いですけど、ひたすら悪文と言う名の美文まみれながらチクチクアホらしさに笑ける小説って、最高なんですよね。

クソみたいなJ-POPとかに吐き気が出る人、読んでください。世間になかなか味方がいなくても、この本はあなたの心強い味方です。

10位 実録・外道の条件

 

なにゆえかくも話が通じないのであろうか。丁重な文面であるのにもかかわらず、その文面のなかにときおり顔をのぞかせる強い調子、攻撃的な排他性のごときを改めて強く感じ、その根拠として彼らが標榜しているボランティアという概念について、普段そんなことについてまるで考えたことのなかった私が、この困惑を契機に深く考えるようになってしまったというのは、いったいいかなる因果・因縁であろうか。(「地獄のボランティア」より)芥川賞受賞第1作となった傑作小説集。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00IADVREC

 表紙、むちゃくちゃかっこよくないですか?

これでユーモアのセンスがアホほど高いめちゃくちゃおもしろい小説を書く。反則なのである。

唯一の無二のセンスを持って、どこにでもいそうな人々を描く。わけがわかりません。天才。

9位 爆発道祖神

 

世間を往来すると、見るもの見るもの、みなしゃらくさい。作家の目にとまった風景を、カメラと言葉で切り取れば、そこに広がるのはさまざまな色音匂いが渾然一体となった別世界。虚実入りみだれ、乱反射をまきおこす町田節の連打がビッグバン。未だかつて足を踏み入れたことのない境地へあなたを誘う。異才・町田康の全く新しい表現形式、全72話のショートショート・フォトストーリー。
https://www.amazon.co.jp/dp/4041000742

小説なのか、エッセイなのか、なんなのか。

本気なのか冗談なのか、わからない、それは読み手である私の知能が足りていないからなのか?

何気ない日常が町田康にかかると急激に異質なものとして見えてくる、刺激満載のフォトブック!

8位 バイ貝

 

私たちは、生きているだけでお金がかかる。なので稼ぐ。稼ぐには働かなければならず、働けば少なからず鬱が発生する。鬱を多く抱えていては幸せになれず、できるだけなくすようにしたい。

どうしたらよいか。お金を遣うのである。お金を遣うとき、私たちは自由を味わって楽しくなり、結果、鬱が消える。しかし、お金を遣えば当然なくなる。そして私たちは再びお金を稼ぎ、鬱を溜め、それを散じるためにお金を遣う。

―この宿命に、果敢に挑んだ男の姿を、著者独特の感性と言語で描いた傑作文芸作品。
https://www.amazon.co.jp/dp/4575714585

鬱で一冊書ききる、それはもうしつこいほどに書ききった、すごい小説。

町田康の文体はずっと読んでいられる不思議な文章なんですよね。夜に読み始めたら夜更かしは必須なのでお気をつけて。

7位 権現の踊り子

 

第28回川端康成文学賞を受賞した「権現の踊り子」ほか「鶴の壺」「矢細君のストーン」「工夫の減さん」「ふくみ笑い」「逆水戸」の全6編からなる短編集。

1編1編が短いがゆえの余韻を残しつつ、テンポ良く進んでいく。 「俺は昔から権現が好きだった。ゴンゲン。響きが素敵」。「おばはん」から権現市ができたと聞き、剃刀を買いに出かけた「俺」。だが市と祭りは来週かららしく、主催者の男に頼まれて準備中の料理を味見することになる。ぺかぺかのプラスチックカップに入ったワイン、羊の肋(あばら)肉、「ハンバーカレー」…。そして「もはや恥辱そのもの」の「権現躑躅踊り」を披露されるに至り、「俺」の困惑はいよいよ深まっていく(「権現の踊り子」)。

荒唐無稽な話ばかりだが、そこに漂う焦燥感と息苦しさは、読むほどに読者自身の体験と重なっていく。深刻な状況に同居する笑いを、町田は逃さずにすくいとり、リズム感あふれる言葉でさらにふくらませてみせる。

「逆水戸」は、テレビの時代劇好きという町田らしく、「水戸黄門」とおぼしき物語を下敷きにした時代小説。現代を離れ、江戸を舞台にしたこの小説に大笑いしながら全6編が終わる、という構成もいい。(門倉紫麻)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01CE4DUNI

表題作が秀逸。一番構想を練って書かれたであろう作品で、骨太な町田康が楽しめます。と、言っても崇高な作品ではなく(笑)いつものアウトサイダー、大衆側に立つパンク魂は普遍ですのでそこはご安心を。

6位 パンク侍、斬られて候

 

「腹ふり党」と称する、激しく腹を振って踊る新宗教が蔓延し、多くの藩が疲弊していた。浪人・掛十之進はそのいかがわしい弁舌と剣の実力を駆使し活躍するが・・・。

https://www.amazon.co.jp/dp/4043777035

センスがすごい!この作品で町田康の凄まじさに虜になった人も多いのではないでしょうか。”言葉の曲芸飛行士”とはサリンジャーが『フラニーとゾーイー』作中で使った言葉ですが、掛け合いの台詞が超秀逸。くだらなすぎて笑っちゃうんですが、なぜだか知性がほとばしっているんですよね。

平成の”曲芸飛行士”の凄技を是非体験してみてください。 

5位 浄土

 

「私はあなたと別れます。なぜならあなたが途轍もない馬鹿だとわかったからです。」

誰もがみな本音しか言わないすがすがしい街「本音街」、突然現れ日本を大混乱に陥れる巨大怪獣「ギャオスの話」他全七篇。奇想あふれる破天荒なる爆笑暴発小説集!
https://www.amazon.co.jp/dp/B01FDIEYSC

町田康は短編が良いんですよね。いや、大長編も凄まじく良いんですけどね。まぁどれも最高なんですけど。

音楽家だからでしょうか? 短編の切れ味に不可欠な、リズム感溢れる会話が気持ち良いです。

4位 きれぎれ

 

「―― 大きい俺や小さい俺、青空に円形に展開、みな、くわっとした格好で中空に軽くわなないている ――」。親のすねをかじりながら無為の日々を送っていた「俺」はかつて、ともに芸術家を志し、その才能を軽視していた友人が画家として成功したことを知る。しかも、美貌と評判高い彼の妻は、「俺」が見合いをして断った女だという。よじれて歪んだ心が生むイメージが暴走した果てに「俺」が見たものは…。
https://www.amazon.co.jp/dp/4167653036

芥川受賞作。

町田康の小説内にある、突然の独白や、本音の吐露、そういった部分が私は大好きです。この腐りきった世の中の、おべんちゃらばっかり使っている奴らをぶった切るような一言が好きなんです。

そのくせ自分が一番しょうもない人間だったりするんですけどね。その矛盾がリアルなんですよ。

『きれぎれ』は、上記のような矛盾した感情が、ゆるやかにずっと続くような小説です。 

3位 くっすん大黒

 

賞賛と悪罵を浴びた戦慄のデビュー作 大黒様を捨てようとして始まる日常の中の異次元世界。日本文学史に衝撃的に登場した芥川賞作家の処女小説。「河原のアパラ」を併載
https://www.amazon.co.jp/dp/416765301X

強烈なデビュー作。アウトローぶった弱者ばっかり描いている、文体も明らかに特異、明らかに文学っぽくない。

けれど知性が溢れ出している理由ってなんなんだろうなってずっと思ってたんですよね。

読書を重ねるうち、その理由が少しわかった気がします。それは人間の悪を見切って描いているところ。こんな悪人いる、こんな嫌な奴、いる。けれどそいつらは世間では悪人ではなかったりする。これを描かせたら今の日本で一番すごいんじゃないでしょうか。

デビュー作、すごいです。 

2位 屈辱ポンチ

 

狂っているのは「世界」か、この「オレ」か? 友人に頼まれて男に嫌がらせをするはめになっちまった「オレ」と手下の帆一の珍道中。表題作の他に「けものがれ、俺らの猿と」を併録
https://www.amazon.co.jp/dp/4167653028

小説で人を笑わせる、むちゃくちゃ難しいことだと思います。

あなたは小説で笑ったことが有りますか?誰に笑わされましたか?

あまり思い浮かばないはずです。私は町田康にかなり笑わせてもらっています。中島らもも笑えますが、町田康とは質が違う。

中島らもに笑わされる時、そのクレイジーさに笑ってしまうとするならば、町田康にさ笑わされる時、それは彼の知的掌上で踊らされているのに等しい。

どんな悲惨な話でもシリアスな場面でも、笑わせることができるすごい作家です。

1位 告白

 

人はなぜ人を殺すのか――河内音頭のスタンダードナンバーで実際に起きた大量殺人事件<河内十人斬り>をモチーフに、永遠のテーマに迫る渾身の長編小説。殺人者の声なき声を聴け!
https://www.amazon.co.jp/dp/4122049695

先に言います。超名作。日本文学界に残すべき文学。

文庫で800ページ超えの大作ですが、一気に引き込まれて読んでしまいます。笑って、泣けて、怒れて。。。思考をせずに突き進める奴は豊かで、思考をしてしまうものは貧しい。薄っぺらい奴ほど汚く金を稼ぐ、不当に地位を得る、そんなふうに思ったことがある人も多いのではないでしょうか。

主人公熊五郎もそんなどこにでもいる男のはずでした。けれどもどうしてか、少しずつ人生が狂っていき、気がつくと戻れないところまで来てるのです。

舎弟の弥太郎との友情もむちゃくちゃ熱いです。そこかしこで笑えるし、ふいに涙が出てきます。もうなんだか全然よくわからない小説です。

これを読まずに死んではいけません。

 

おわりに

町田康のおすすめ小説を紹介しました。

少し熱くなってしまう場面もありましたが、やっぱり小説は反体制、反権威と相性が良いです。ロックでありパンクであるべきなんですよね。腐った世の中にへどが出る!と言う人は、ぜひ町田康の小説を読んでみてください。

弱者が弱者である所以が見えてしまって苦しいですが、正しい心が確認できて、力が出ます。

この記事が何かのきっかけになりましたら幸いです。

 

あわせて読みたい

www.quercuswell.com

www.quercuswell.com

 

 

www.quercuswell.com