和洋折衷バイキングのミスチルに敗れた寿司職人スピッツ
ミスチルとスピッツ、デビュー時期も、デビュー当時の作風も似通っていて、ともに日本を代表するバンドです。音楽性は好みもあるので優劣はつけれないのは承知の上で、商業的勝者を選ぶとするならば、10人中10人がミスチルと認めるはず。
何故スピッツは(商業的に)ミスチルに敗れたのか。それは、、、
- 1. 音色がワンパターンすぎた
- 2. 歌詞が詩的過ぎた
- 3. リズムパターンがワンパターンすぎた
のです。
この記事では上記3つの要因について分析します。
目次
要因1. 音色の種類で圧倒された
ミスチルサウンドと言えば、なにはともあれ小林武史のシンセアレンジ!ストリングス、ピアノ、だけでなく、金管も木管も、ノイズさえも混ぜ込んだ徹底的な音の洪水が感動を呼びます。例えばこんな感じ↓↓
Tomorrow never knows
音色:バンドサウンド(アコギ、エレキ、ベース、ドラム)+コーラス重ね録り+ピアノ+ストリングス+サックス+オルガン+他シンセ音多数(ベルなど)
タガタメ
音色:バンドサウンド+コーラス重ね録り、+ピアノ+ストリングス・金管(オケ)
圧倒的。
これがロックなのか、バンドでやる意味あんの?とかは置いておいて、わかりやすく表現力の幅が広がるんですよね。
一方スピッツですが、音圧的にはぶ厚いんですよ。曲によってはミスチルより音重ねてるな、ってのもあるぐらい。アコギでバッキング、エレキを2,3本重ね、コーラスも層になっていく。分厚い音なんです。非常にファンタジーな空間が生まれます。
ただ、ミスチルと圧倒的に違うのが、音色の数。3曲を聞いてみましょう。
空も飛べるはず
音色:バンドサウンド(アコギ、エレキ、ベース、ドラム)+コーラス重ね録り
ロビンソン
音色:バンドサウンド+エレキ重ね録り
楓
音色:バンドサウンド+エレキ重ね録り、ピアノ(コーラスあり)
聞いてわかる通り、曲調やテンポに差はあるけれど、どの曲もアコギのバッキングギター、アルペジオ基調で幻想的なUKニューウェイブ風のエレキギター、同じくふわふわしたコーラスを重ねる。と、サウンド的にはどうしてもミスチルよりもバラエティが少ないんです。
ミスチルが和洋折衷の食べ放題バイキングだとすると、スピッツは魚だけで勝負するお寿司屋さん。職人気質。どちらが良いというわけではないけれど、わかりやすさという点で負けちゃってますよね?
ドメジャーな市場で勝負しようとすると、でっかいパイを取らねばならない。そういう意味で、わかりやすさ、真新しさは超大切!
スピッツも超大成功のバンドですけど、ミスチルになれなかった一番大きい理由はコレだと思うんですよね。小林武史がいたかどうかじゃねっていう的確すぎるコメントは禁止
要因2. 歌詞がラブソングなのに詩的すぎた
続いては歌詞。
私はスピッツ草野マサムネの歌詞の方が好きです。はっきり言ってミスチルに歌詞の良さはもはや感じられない。
ミスチル桜井さんの歌詞は自己啓発本を一般向けに焼き直したメッセージ、のものが多いんですよね。だから、自称少し病んでる人たちや、社会や現状に不満を持ってたりする層の人々は洗脳されちゃうんですよ。多いでしょミスチルファンって妄信的な人
一方、草野マサムネは詩人なんですよ。好きなフレーズをいくつか。
”バスの揺れ方で人生の意味がわかった日曜日 (運命の人)”
”余計なことはしすぎるほどいいよ (運命の人)”
”愛してるの響きだけで強くなれる気がしたよ (チェリー)”
”いつもの交差点で見上げた丸い窓は薄汚れてる ぎりぎりの三日月も僕を見てた (ロビンソン)”
いやぁ、いい。休日の午後にこんなことばっか書かれた恋愛短編集読んで日光浴して昼寝したい。
でもなぁ。これじゃあ刺さる層が限られるんですよね。もっと洗脳的、もっと俗っぽくないとミスチルには勝てない。大衆全てを洗脳するぐらいの気持ちじゃないとミスチルには勝てない。響く層が(ミスチルに比べると)少ないんです。
要因3. リズム隊のバリエーションが少ない
スピッツは音色のバリエーションが少ない、と既に述べましたが、リズムのバリエーションも少ないんですよね。8ビートで2拍4拍スネア。16分でハネたりはするけど、奇抜なリズムパターンはとても少ないんです。リズムで勝負してるんじゃないので当たり前なんだけれど、飽きちゃうんだよなぁ。数少ない変則ビートを聞いてみましょう。
放浪カモメはどこまでも
これも基本は8ビートなんだよなぁ。
渚
テーマ的にサマー感を出したいということで、数少ない工夫が見られる曲かも。
一方のミスチル。JENさん(Dr.)が考えているのか、コバタケが考えているのかわからないけれど、変わったリズムパターンが数多くあります。ライブでJENが全然叩けてないのもある
名もなき詩
曲の印象のとても大きな部分をドラムが担ってますよね。メロのビートが独特で存在感放ってます。音数が少ないメロから疾走感溢れる8ビートのサビへとつながるいいアレンジ。
youthful days
キックでAメロの疾走感を出し、スネアを詰まったリズムで入れるBメロでためるっていうね。ヒネリがあるおもしろいアレンジ。
ランニングハイ
ハットでキメを入れまくって切れ味を出しているメロが印象的な一曲。ビートのスイッチが入って高テンションになったりスローになったりと、曲中を通してリズム隊がいい味出しています。
ミスチル、音色の多彩さもあるけれど、リズムパターンもいろいろあるんだよなぁ。まさに和洋折衷バイキング。。。スピッツにもコバタケがいればなぁ(またかよ)
おわりに
いかがでしたでしょうか。
スピッツがミスチルに音楽として劣っているなんて言う気はさらさらありません。が、商業的に敗れたのは、色々言いましたがバリエーションのなさなんですよねぇ。
コバタケがいればなぁ(しつこい)
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