はじめに:元国税調査官が語る本音の起業マニュアル
儲かっている企業から税金をふんだくってくる仕事
(本文より)
国税調査官の仕事について、本書の冒頭でこう述べられています。
更に、本の帯には煽るような文言が並んでいます。
・国から開業資金を奪い取る
・消費税を払わずに住む
・領収書がなくても経費になる
・旅行にも行き放題
・ニートを3ヶ月間雇えば月4万円の助成金
・節税アイテムとしても使える社会保険料
・企業に学歴は関係ない
・成功者しか知らないかしこズルイ、会社のつくりかた
怪しい。笑
そう思いませんでしたか?しかし、中身を読んでみると印象は変わります。丁寧に国から助成金を調達する方法や、青色申告、白色申告のメリット・デメリット、個人事業主、法人の比較を、説明されている良本です。
煽り気味な文体ですが、違法行為などは全く推奨されていませんので、そちらは期待しないで下さい。あしからず。
目次
国・地方公共団体からお金を調達しよう!
今の時代、顧客と事業主を結ぶテクノロジーは無数にあります。何か商品をネットで売りたいと思ったら、amazonや楽天はもちろん、カラーミーなどのecショップも充実してきていて、ニッチなところを狙えば、食べていくだけのお金は稼げる時代です。
初期投資なしで始められるビジネスもありますが、最低限の初期投資、開業資金が必要な事業も多く、その方面で起業したい、と考える方もいるでしょう。それに、事業を始めても、実際に売り上げが入金されるのは数ヶ月遅れということも多いでしょう。数ヶ月は生活できるだけのキャッシュを手元においておかなくてはなりません。
もちろん貯金をして蓄えておくのが第一ですが、それ以上に現在、国や地方公共団体では起業をサポートする仕組みが整い始めています。また、老人やニートを雇うと、国から助成金が出る制度なども充実しています。
- 日本政策金融公庫:(上限7,200万円)
- 東京都:(上限1,250万円など)
- 高齢者雇用開発特別奨励金:(60万円)
- 若年者トライアル雇用:(月4万円)
本書には、上記以外にもさまざまな助成金や融資についての紹介が書いてあります。このパートは既に起業をした経営者必読ですね。
青色申告より白色申告!
起業を考えている人にとって、切っても切り離せないのが確定申告です。きちんとこなさないと、追徴課税で重税がのしかかって来たり、脱税のレッテルが張られてしまって営業に影響が出るかもしれません。
本書では明快に、最初は白色申告から始めることを推奨しています。
具体的には、所得が300万円を超えるまで=目安として売り上げが1,000万円を超えるまで、は白色申告でいくべきだ、と著者は言います。その最も大きな理由として、経理のシンプルさをあげています。所得が300万円を超えるまでは、細かい記帳や、証票類の保管義務がないため、個人で起業する場合には、まずはこちらでいくのが良いだろう、ということです。
もちろん、所得が300万円以上の場合は、簡単な記帳が必要なので、そこは注意をする必要があります。
逆に、青色申告は1,000万円以上の売り上げが出てきた場合にすることを推奨されています。これは、白色申告の最大のメリット、記帳の簡単さ、が消えることが大きな要因です。さらに、この段階に来ると、会社組織に変更し、節税対策を始めるべきだ、と著者は言います。経理の手間は同じくらいなので、より節税の方法が多様な会社組織もありだ、ということです。
また、著者は『あらゆる領収書は経費で落とせる』という書籍も出しており、本書でも経費の落とし方が満載です。税務署での経験を存分に発揮していますが、こんなこと言って良いのか?ってところまで踏み込んでます。笑
- 領収書をもらい忘れた時どうすればよいか
- 家賃、光熱費の按分方法
- 儲かった時の接待交際費推奨
- 消耗品購入
- 旅費
状況は年々変わっていきますので、実際に確定を申告を行う際には税理士に相談するなどする必要があります。ただ、こんなことができるかもしれない、というアイデア的に、持っておいて損はないのではないでしょうか。
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