ノーベル賞は権威主義でつまらないと思うあなたへ
ノーベル賞受賞者の作品を読んでて、
- あまりにも芸術的な抽象画を見ているようだ
- ブンガク的すぎて難しい
- 端的におもしろくない
みたいなことを思ったことありませんか?
日本の本だけじゃなくて、世界的名作を読みたいけれど、ノーベル賞はちょっとお堅い。。。そんな風に思っているあなた。圧倒的におもしろい本が受賞できる賞があるんです。それはブッカー賞!
この記事ではブッカー賞受賞作家のおすすめ本5つを紹介します!
目次
ブッカー賞は信頼できる
ノーベル賞は価値ある文学性を評価します。結果的に権威主義に陥りがち。(ボブ・ディランに受賞させるなど、マーケティング的にもうまくやっていますが。。。)審査員も偉いセンセイ方って感じ。
一方ブッカー賞は読書のおもしろさに焦点が当てられています。審査員も多種多様で、本当におもしろい小説が候補になり、受賞していきます。
また、基本的に英語圏の小説だけが大切だったのですが、ブッカー国際賞というものもできて、まさに死角無し。早速紹介していきます。
わたしを離さないで/カズオ・イシグロ
自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕すると評されたイシグロ文学の最高到達点
https://www.amazon.co.jp/dp/4152087196
カズオ・イシグロ、ブッカー賞と言えば”日の名残り”ですが、カズオイシグロのThe Very Bestは絶対”わたしを離さないで”。これはね、もう絶対。
カズオ・イシグロのいつもの作品同様に、霧が晴れていくように少しずつ謎が明かされていくのですが、そのさじ加減が絶妙! わかっていても心を揺さぶられる。わかっているのに涙が出ちゃう。
死ぬまでに絶対読むべき一作です。
終わりの感覚/ジュリアン・バーンズ
穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。記憶をたどるうち、その人が学生時代の恋人ベロニカの母親だったことを思い出す。託されたのは、高校時代の親友でケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記。別れたあとベロニカは、彼の恋人となっていた。だがなぜ、その日記が母親のところに?―ウィットあふれる優美な文章。衝撃的エンディング。記憶と時間をめぐるサスペンスフルな中篇小説。2011年度ブッカー賞
恥ずかしながら、ブッカー賞を取るまでジュリアン・バーンズの著作はスルーでした。
ブッカー賞受賞を期に読み始めたのですが、まぁ素晴らしい。何が素晴らしいかというと、読者の感情を揺さぶるテクニックです。
ブッカー賞受賞の本作はスリルがあり、読者を空きさせない工夫に溢れている名作です。
他の作品で言うと、”イングランド・イングランド”という小説もオススメです。普通こんなところで泣かせにくるわけないだろう、というシーンで涙が溢れてしまう、驚きの体験ができますよ。
ほとんど記憶のない女/リディア・デイヴィス
「とても鋭い知性の持ち主だが、ほとんど記憶のない女がいた」 わずか数行の箴言・禅問答のような超短編から、寓話的なもの、詩やエッセイに近いもの、日記風の断章、さらに私小説、旅行記にいたるまで、多彩で驚きに満ちた〈異形の物語〉を収めた傑作短編集。カウボーイとの結婚を夢みている自分を妄想する「大学教師」、自分の料理を気に入らない夫の好みを記憶を辿りながら細かく分析していく「肉と夫」、思考する〈私〉の意識とメモをとる〈私〉の行為を、まったく主語のない無機質な文体で描く「フーコーとエンピツ」他、全51編を収録。「アメリカ小説界の静かな巨人」デイヴィスの、目眩を引き起こすような思考の迷路や言葉のリズム、また独特のひねくれたユーモアは、一度知ったらクセになる。
https://www.amazon.co.jp/dp/4560071748
タイトルだけで、ブンガクセンサーがビンビン反応したあなた、正解です。そして何より訳者が安定の岸本佐知子。おもしろくないわけがありません。
私は”興味・感性を刺激する散文がたくさん詰まったノート”という感覚で、インスピレーションが欲しい時にさらっと読んだりしてます。他人の思考を使うと新しいアイデアが沸くのでオススメですよ。
ここがホームシックレストラン/アン・タイラー
「子供たちにはがっかりさせられてばかり…」「友達のところみたいな母さんだったらよかったのに…」「どうして弟ばかり皆に好かれるんだろう…」。家族だから分かりあえることもあるけれど、ため息つきたくなることだってある。ファミリードラマを書かせたらこの人の右に出る者はいない、と言わしめた著者の出世作。
https://www.amazon.co.jp/dp/4167218534
読みやすいけど心にひっかかる、そんな小説を欠かせたら天下一品のアン・タイラー。2015年の”A Spool of Blue Thread”でブッカー賞最終候補に残りました。
本作は、ピューリッツァー賞とペン/フォークナー賞の最終候補になった、著者の出世作。スリル満点のサスペンスや大泣きのカタルシスものではなく、ほっこり温かく、時にほろ苦い『家族もの』が好きな人はコレ。
ヴァーノン・ゴッド・リトル―死をめぐる21世紀の喜劇/D・B・C・ピエール
痛快無類な文体で、現代アメリカを黒い笑いの連打で駆け抜けるブッカー賞受賞の大問題作、ついに刊行。
https://www.amazon.co.jp/dp/4789732363
最後に飛び道具的衝撃作をご紹介。これまでの作品とちょっと毛色が違います。笑
権威的か?と言われると、非権威的。
文学的か?と言われると、いわゆる『文学』ではないが、ブンガク的。
おもしろいか?と言われると。超絶おもしろい。
そんな本です。
おわりに
ノーベル賞受賞作を読んでつまんねーと思ったことがある方、意外に多いと思います。本当におもしろい本しか受賞できないブッカー賞受賞作家を選べば、読書の幅が広がりますよ。
あわせて読みたい