はじめに:クエンティン・ タランティーノ監督・脚本は期待をいつも裏切る
もちろんいい意味です。
ハードボイルドな雰囲気と、タランティーノお得意の、舐めた台詞回しや奇人の狂気が満載!ストーリーはさらりと、部分を楽しめる映画です。どこ見ても楽しい本のような映画です。
目次
あらすじ
1997年制作のアメリカ映画。エルモア・レナードの小説『ラム・パンチ』をベースに、クエンティン・タランティーノが監督・脚本した犯罪サスペンス。
メキシコの航空会社に勤める中年スチュワーデスのジャッキーは、生活苦のため裏では武器商人オデールの運び屋をやっていた。ある時、ジャッキーはオデールを追っていたFBI捜査官のレイに逮捕されてしまう。レイからオデール逮捕に協力するよう持ち掛けられるジャッキーだったが取引には応じないまま保釈される。
人生半ばを過ぎ、現在の生活に限界を感じていたジャッキーは、親しくなった保釈屋のマックスと共にすべてを清算する一攫千金の計画を実行する。
キャストは下記。
ジャッキー・ブラウン(パム・グリア/ 弥永和子)、オデール・ロビー (サミュエル・L・ジャクソン/大塚明夫)、マックス・チェリー(ロバート・フォスター/佐々木勝彦)、
メラニー・ラルストン(ブリジット・フォンダ/冬馬由美)、レイ・ニコレット(マイケル・キートン/山寺宏一)、ルイス・ガーラ(ロバート・デ・ニーロ/津嘉山正種)、ボーマン・リヴィングストン(クリス・タッカー/家中宏)、マーク・ダーガス(マイケル・ボーウェン /大塚芳忠)などなど。
いくらなら、一発逆転狙う?
本作では50万ドル(=6,000万円くらい)を巡って、命がけで裏切りが遂行されます。命を賭ける値段には少し安いと思いますが、袋小路に彷徨い込んでしまった(悪に手を染めてしまった)中年女性には十分の理由なんですよね。
タランティーノは『パルプ・フィクション』や『レザボア・ドッグス』などでも表現がありますが、どん詰まりの人生による動機づけ、物語を前に進める力がすごく上手いんですよね。最近の作品も良いけど、やっぱりカウンター的な魂が存分に溢れ出てる、初期の三作は本当に迷作です。
三作ともに、出てくるキャラクターの多くは大人の不良とでも言いたくなる(マフィアだったりするが、ビジネスマフィアではない)、活き活きとしたかっこ良い、でも境遇はどん詰まりの大人の不良。彼らの企みは成功することもアリますし、失敗することもある、たとえ成功したとしても、とうていその先うまく行くとは思えない、そんな明るくない未来に向かって進む姿が何故か素敵に心に響くんですよね。
いくらなら、一発逆転を狙う?じゃなく、そういう生き方をそもそもしている、そしてどん詰まりの状況が生まれる、チャンスが来る、もちろん掴む(掴もうとする)。人間賛歌では全く無いし、熱い感動を呼ぶ物語にはなりえない。ただ全キャラクターといっていいほど、それぞれに刹那的なかっこよさが散りばめられまくっている。
酔っ払いながら見ると本当にいいですよ。こう言う映画は。自分がどうやったってなれない人間に会えるんですから。
なんと言っても曲が熱い
ボビーウーマック、フォクシー・ブラウン、デルフォニックス、etc。黒いノリがめちゃくちゃ気持ちいいんです。
オープニングでボビーウーマック『across 110th street』がかかった瞬間から、テンションは爆上がり。一気に映画を好きになります。こういう映画は、深夜にお酒飲みながら流し見するとめちゃくちゃ楽しいんですよね。
ロバート・デ・ニーロの起用方法
なんといってもこの大御所の使い方がめっちゃおもしろい。悪そうなできる奴の役かと見せかけて、くたびれたというか、間の抜けたおじさんの役をデニーロにさせてるんですよね。終盤では『おいおい、おっさんマジかよ』的なことをやってしまう、いわゆる、いけてない脇役のオヤジなんですが、それがデニーロっていう。デニーロを見るためだけに見ても良いんじゃないでしょうか。脇役ですけどね。
いやぁ、こういうタランティーノの型にはまらない脚本や配役、たまんないです。私の中で、デニーロはもちろんタクシードライバー、トラビスの狂気が最高に印象的ではあるんですが、私の中ではジャッキー・ブラウンでのルイスも相当ポイント高いです。
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