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えっ!2025年には誰もが新しい貧困層に!?3つの未来へのワーク・シフト/『ワーク・シフト』リンダ・クラットン

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はじめに:激動の時代を生き残るには

十年後の仕事のあり方を考えてみたことはありますか?


人工知能・ロボットの進化、新興国のグローバル人材の台頭、移民の流入......etc
すぐに頭に浮かぶのはこんなところでしょうか。2025年、あなたは今の仕事を続けていますか?ロボットや人工知能、グローバルな教育を受けた移民に取って代わられる、という心配はないですか?

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本書は、英タイムズ紙の選ぶ、『世界のトップビジネス思想家15人』のひとり、リンダ・クラットンが、未来の働き方について書き記したものです。


 著者が執筆を決意した動機は、自分のふたりの子供たちから『医者になりたい』、『ジャーナリストになりたい』、と言われたた問いに、うまく答えられなかったことです。そして、2025年に私たちはどんな職業についていれば高給の仕事に就けるのか、なくなってしまう仕事はなにかについて考え、最終的に下記のような質問に全て答えるため、探求の旅に出ることを決めたのです。

 

(2025年に)

私と私の友達、子どもたちはどのような人生を送っているのだろうか

私たちは朝の10時には、どういう仕事をしているのか

私たちはランチは、誰と一緒に食べるのか

私たちはどのような業務をおこなっているのか

どのようなスキルが高く評価されるようになるのか

私たちはどこに住んでいるのか

家族や友人と過ごす時間と仕事との関係はどうなるのか

私たちは誰から仕事の報酬を受け取るのか

私たちはいつ仕事を退くのか

私たちはどのような仕事観を持っているのか

私たちはどのような仕事をしたいと思うのか

私たちはどのような希望を抱くのか

私たちは何が原因で眠れないほどの不安を感じるのか

自分のために、そして未来の世代のために、なにを必要と感じるのか

(本文より)

 

そして、そのような時代の変化に対応するために必要な3つのワーク・シフト=働き方の転換を提案してくれています。

ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>

ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>

 

 

目次

 

 働き方を変える5つの要因

1.テクノロジーの進化

歴史的に見ても、テクノロジーの進化が社会のあり方をある程度変更してきたのは明らかです。

例えば火によって、夜をある程度克服し、寒い地域にも暮らせるようになりましたし、言葉の発明により、人間は他の動物と一線を画したコミュニケーションを取れるようになりました。また、車輪を発見したことによって、産業の起点となりました。

本書では、『技術決定論』(社会の全ては、その時代に発現したテクノロジーによって決まるという考え方)、を盲目的に正しい、という立場を取ってはいません。しかし近年の情報技術の驚異的な発達を見ても、働き方に影響を与えるのは確実です。

具体的には、世界中で五十億人がインターネットでつながるようになり、知識のデジタル化が進み、バーチャルな空間でアバターを使って働くようになり、人口アシスタントが普及し、ロボットが労働者に取って代わるだろう、という予測が立っています。

 

 

2.グローバル化の進展

日本でもTPPが何かと話題になっていますが、分業化、グローバル化の波は避けられそうになりません。もちろんそれだけ経済が活発になるということですが、それによって競争もまた激化することは必死です。

 

グローバルの競争に敗れた街で有名な、デトロイトの自動車産業の衰退ぶりを知っているでしょうか。荒廃した街は、放置された無人の駅は本当に恐ろしい。ウォーキング・デッドの世界のようです。

jp.wsj.com

 

日本も例外ではありません。製造業に関して、生産は既に海外に移っていまし、ノウハウ、人材の流出は止まりません。ホンハイ(Foxconn)によるSHARPの買収が話題になりましたが、今後そのようなことはどんどん起こるでしょう。

 

2025年に予測されていることとしては、24時間365日休まない世界の継続、新興国台頭、インド中国の更なる台頭、コストのかからないイノベーション、世界中での都市化進行、バブル形成、崩壊の繰り返し、世界の至るところでの貧困層の出現です。

 

3.人口構成の変化と長寿化

主に四つの世代に分けられて議論がなされています。

  • 伝統主義者世代(1928年~1945年生まれ)
  • ベビーブーム世代(1945年~1964年生まれ)
  • X世代(1965年~1979年生まれ)
  • Y世代(1980年~1995年生まれ)

更に次の世代はZ世代と呼ばれています。

 

今ある、いわゆる若い世代にとって『古臭い』仕事の慣習は、伝統主義者世代によって作られたものです。彼らは今後仕事の現場を離れますが、しばらくは慣習は残ってしまうことでしょう。

ベビーブーム世代は第二次世界大戦後に出生率が増加したことにより生まれた世代です。その後は出生率は下がる一方で、この世代が職場を去ったあとは、深刻な人材不足が懸念されています。経済成長を桜花し、消費=幸せというのを信じる世代です。

X世代は経済成長を当然とは捉えておらず、終身雇用への期待も小さい世代で、コンピュータ、インターネットの誕生を経験した世代です。


Y世代は様々なテクノロジーに触れながら育った世代となり、メール、SNSが活発に利用されるようになった世代です。2025年に、キャリアの重要な時期にさしかかります。

 

もちろん個人の考え方の違いはありますが、世代によって大まかな考え方の傾向はあると思います。世代の人口構成の変化により立てられる予測ですが、Y世代の影響力拡大、長寿化、長寿化にともない、ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎える、人材不足による国境を越えた移住が活発になる、などです。

 

 

4.社会の変化

社会の変化は、人びとの意識の変化によるものが大きく、予測が難しいとされています、ただ、マズローの欲求にもあるように、人びとは整理欲求、安全欲求、帰属(社会的)欲求、尊厳欲求、自己実現欲求、と順次満たしていこうとする本質は変わりません。

そこから考えると、家族の規模が小さくなり、自分自身について深く内省する人が増え、女性の社会進出がより進み、仕事だけに生きる男性が増え、大企業や政府への不満が強まって、消費による幸福感は減退し、効率化によって余暇時間が増える、ことが予見されています。

 

 

5.エネルギー・環境問題の深刻化

この項目はよく議論されていることが主な項目です。

 

エネルギー価格が上昇し、炭素税の導入などで、人の移動に制限がかかり始め、海水面上昇によって住居が追われる人が増加し、持続可能性を重んじる文化が育っていくだろう、という予測です。

 

働き方を変える5つの要因まとめ

 いかがでしたでしょうか。良い面、悪い面、両方あったと思いますが、何も考えずにうかうかしていると、テクノロジーの進化によって、24時間仕事に追われ、自宅でのリモートワークが進むことにより、リアルの生活では誰にも合わずに孤独に悩まされる働き方もありそうです。

また、大企業は更に支配を強めていくでしょう。高給な雇用を得るためにはこれまでの同じ国、同じ地域の人びとと競うだけでよかったのが、ライバルに人工知能やロボット、移民まで加わってくるのです。それに、あなたが貧困かそうでないかは、facebookなどのSNSによって丸裸となるでしょう。

 

3つのワーク・シフト

さて、それではそんな困難の時代を生き抜くために、どのように生きれば良いのでしょうか。著者は3つのワーク・シフトを勧めています。

 

1.ゼネラリストから、『連続スペシャリスト』へ

未来の世界では、広く浅い知識、の価値は下落します。人工知能によって汎用化され、アシスタント化されることが予測されているほどですから。

そこで勧められているのが、専門技能の連続的習得と、セルフマーケティングです。ニーズが高まりそうなジャンル・職種を狙って知識・技能の習得をつづけて、フローバルな人材マーケットで、取引先に能力を納得させる材料を確立していくことが求められます。

どんな職種がこの先食いっぱぐれがないか、どのような技能が今後も求められるかが書かれています。例えばミニ起業家や、コーチング・ケア関連は、この先も有望なものというのは明らかですが、本書でも言及がされています。

この章は必読です。

 

2.孤独な競争から『協力して起こすイノベーション』へ

ここでは、より良い人生を歩むために必要な3種類の人的ネットワークについて書かれています。

 

ひとつは『ポッセ』と呼ばれる仲間です。
彼らは頼りになる同士で、比較的少人数のグループです。専門技能や、仕事の進め方などがある程度似ていて、信頼関係も強い人である必要があります。何か合った時には、具体的な解決策の相談をし合える仲間で、自分と同程度の知識、行動レベルであることが重要です。

ポッセがいれば、短時間で、高レベルの仕事がこなせます

 

次に必要なのは、『ビッグ・アイデア・クラウド』です。

ポッセの弱点は、似たり寄ったりの人を集めているところで、突飛的なアイデアが出にくいことです。それを埋め合わせるのがビッグ・アイデア・クラウドです。メンバーは多ければ多いほどよく、多様性を重んじます。SNS上でのゆるやかな知り合いなどが該当します。SNS上で意見を募ると、突飛な答えが帰ってくることもありそうです。

 

最後に必要なのが、『自己再生のコミュニティ』です。

彼らは現実の世界で頻繁に会える必要があります。冗談を言えたり、プライベートなことを語り合ったり、くつろいで時間を過ごせるメンバーです。当たり前に手に入る時代は過ぎ去ってしまいますので、意識的にそういう人間関係を築いていく必要があります。テクノロジーが進化したとしても、衰退してしまうものもある。興味深い項目です。

 

3.大量消費から『情熱を傾けられる経験』へ

最後にして最高に熱い章です。ここは本当に必読です。


言っていることはシンプルで、一番大切なのは、自分で主体的に自分の未来を築くということだよ、ということです。

家族との生活を大切にし、大企業に属して時短で働く選択をするのか、世界中を飛び回って暮らす生活をするのか、はたまたミニ起業をして地域密着で暮らしていくのか......テクノロジーの進化、及び社会の変化によって、多種多様な選択肢が出てくることでしょう。もちろん選択肢を増やすためには1.で挙げたような『連続スペシャリスト』である必要がありますが、これまでの、企業が未来を決めていた時代は終わるのです。

 

やる気さえあれば、どんな風にだって暮らしていける、そんな希望に満ちた未来をつかみ取りましょう。

 

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