20代のペーペー(サンボマスター山口)が、山下達郎、大瀧詠一、岡林信康、ムッシュかまやつ、佐野元春、奥田民生に生意気を言いまくる
とにかく面子がすごい。ここまでのミュージシャンと1vs1で対談集を出せる、20代(当時)ミュージシャンって相当いないんちゃいます?
そして、その状況に全然ビビッてないサンボ山口。なんなら喧嘩をしかける場面あるんですよね。今回は個人的に一番ぐっときた、山下達郎との対談に焦点を当てて紹介します。
心は売っても魂は売らない
山下達郎は言います。「全ての芸能、コマーシャリズムは心のどこかのパートを売らなければならない。その中でいかに音楽を作るパッションや真実をキープできるか」
むちゃくちゃかっこよくないですか?様々なしがらみがあるのは当然で、そこと折り合いをつけながら、一番大切な部分だけは守っていく。
2日で数千万のギャラが来てもCMも断り、『武道館やらない、TV出ない、本を書かない』という主義をずっと守っている。
他人から見ると理解できないプライドを持って、曲げずにいる人ってかっこええな、と。
そういう人の作品っていうのはやはりどこか違って聞こえますよね。山下達郎のライブアルバム『JOY』聞いてても、世界に出せるレベルの演奏クオリティやんけ、って思いますもんね。 何回聞いたか。

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ちなみに対談中、サンボ山口は、上記の『JOY』も良いけどシュガー・ベイブ(山下達郎が若かりしころ所属していたバンド)も良いと言って、シュガー・ベイブを次のように
評するんですね。「何がいいって下手なところがいい」
信じられます? まぁこれは周知の事実で、もちろん山下達郎も認識はしてるんですが、いや、すげえなと。お前すげえな、と。山下達郎にそれ言ってええ20代なんかおらんで!これ以外にも、切り込みすぎた発言多すぎて、マジで笑えますねん! けど、そこから始まる山下達郎との議論がマジ、熱すぎです。
生意気の本音と打算
サンボ山口は相当な心意気を持ってこの対談に臨んだようで、こんな風に書いています。
「とにかくもう二度と逢えないもんだと思って、失礼でも何でも訊きたいこと、考えていること全て達郎さんに喋ってしまおうと僕はしていた」
「対談中、いくつも生意気な言葉を達郎さんに投げかけて、自分の無知と浅はかさをひけらかすことに必死でありつづけました。しかし達郎さんはそこに一つ一つ付き合い、その全てに誠実な受け答えをしてくださって、一方愚かしい僕はといえば、そういった優しさにはまたいつものように決まって後から気付くのでした」
賢く、正直な男だなと思いました。自身への敬愛の心と、音楽への深い愛、真っ直ぐなロック魂、そういうのを感じ取ったからこそ、山下達郎もサンボ山口のことを受け止めて、話が弾んではないでしょうか。世代は離れていても、同士のような空気が最後には流れていました。