はじめに:もし明日死ぬとしたら?
もし明日死ぬとしたら、あなたなら何をしますか?
もし1年後に死ぬとしたら?5年後なら?10年後なら?
使い古されたテーマではありますが、ありがちな死の恐怖を描くわけではなく、どこまでも前向きに、むしろ生きる濃度が増したように生きていく(死んでいく?)男たちの姿が最高にかっこいい映画です。
目次
*ネタバレ少しだけあり
あらすじ&作品概要
脳腫瘍のマーティンと骨髄腫のルディ。共に末期患者で病院で同室のふたりは、死ぬ前に海を見ようと、車を盗んで外へ繰り出した。しかし、その車の中にはギャングの大金が詰め込まれていたのだ…。
死に向かって走り続ける若者たちの青春像に、ギャングらのポーカーフェイス的ドタバタ騒動をコミカルに織り込みながら、一種独特の乾いた虚無的テイストを醸し出していく、新世代ドイツ映画の快作ロード・ムービー。
ギャングの親分役に個性派名優ルトガー・ハウアーが扮し、作品の風格を大いに高めてくれているのをはじめ、場面のあちこちに過去の映画のオマージュがちりばめられているのがいい。タイトルにもあるボブ・ディランの名曲は、ドイツの人気バンド、ゼーリッヒがフィーチャーし、劇中で印象的に流されている。
出演: ティル・シュバイガー, ヤン・ヨーゼフ・リーファース, ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ
監督: トーマス・ヤーン
『死』を受け入れるには?という問いに対するある種の解
脚本はかなりコミカルです。笑いを意識した、ばかばかしい展開が満載です。警察はマヌケですし、マフィアとのドンパチもどこか楽しいほど。
しかし、ところどころで展開が引き締められます。彼らは死にかけの男たち、と語りかける描写が、超効果的に作品を重み付けるのです。絶妙です。死にかけなのに、ひたすら前向きに、死に向かって突き進んでいく。言わばできないことを平然とやってのける、そこに痺れる憧れる。そんな気持ちです。
最高のクライマックス
死に向かう二人はどうやって死ぬのでしょうか。わかりやすい結末ですが、映画を見て、一緒に天国までの道を走ったからこそわかる熱い展開が待っています。是非見てみてください。