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花村萬月を読んで極上のカタルシスを!【暴力・セックス・ドラッグ・ロックンロール】

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 圧倒的な暴力と性描写でカタルシスを呼ぶアウトロー作家

生まれて間もなく蒸発した父親が小学校入学後に戻り、旧仮名遣いの本で読書を強制される。父親の方針により小学校を休みがちになったが、様々な学問の基礎を父親から教わる。
問題行動の多い子どもであったため小学校6年のときに児童相談所に送られ、福祉施設の東京サレジオ学園付属小平育英学院サレジオ中学校へ進む。卒業後は都立高校に進学したが、3日目に喧嘩が原因で退学。17歳で京都に移り、ヒモ生活や肉体労働などで食いつなぐ。ギターが弾けたことから、20歳でキャバレー回りのミュージシャンになり、東京・京都・福岡などで活動。
薬物中毒からアル中になり入院。退院後は歌舞伎町で博打三昧をしていたが、金持ちの人妻と知り合い、ともに日本中を旅する。その後、同棲していたクラブホステスの金で北海道旅行に行き、そこで綴った日記が旅行記のコンテストで佳作になったことで、小説家を目指すようになる。
1989年に小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
1998年には吉川英治文学新人賞、芥川龍之介賞を相次いで受賞する。
花村萬月 - Wikipedia

自らの人生がアウトローなだけあって、小説も相当にアウトローです。やくざ者や人殺し、娼婦や淫売がたくさん出てきて、必然的に過激な描写がそこかしこに溢れる小説が多いです。
逆に最近の小説家には描けないものを描ける貴重な作家でもあります。激しく人を憎むことってありますよね。その憎しみや怒りっていうのは、普通は爆発させてはいけません。けれど、小説の中なら可能です。圧倒的なまでの暴力をふるったり、性行為に耽ったり。
そういう意味で花村萬月は、読者に圧倒的なカタルシスをもたらしてくれる稀有な作家です。この記事ではおすすめ小説ベスト9作をランキング形式で紹介します。 

目次

ランキング

  • 独自ランキング
  • 暴力・セックス・ドラッグ・ロックンロール小説
  • カタルシスを味わいたいなら絶好の作家

 

それではランキングどうぞ!

9位 ゴッド・ブレイス物語

 

朝子は、活気あふれる19歳のロックシンガーだ。ライブで人気を集めるバンドを率いている。騙されて行った京都で、そんな彼らが遭遇する愛と冒険の日々…。
切ない恋心に胸を焦がしたことのある人なら、自分の不誠実な生き方に後ろめたい想いを抱いて生きている人なら、読んで涙せずにはいられない、花村萬月、鮮烈のデビュー作!
https://www.amazon.co.jp/dp/B00QG5POW2

粗いし貧弱!花村萬月のその後の過激さを知ってしまうとデビュー作は”弱い”の一言につきるんです。
それでもこの初期衝動というか、小説を書くんだという気概にあふれた一作は、ファンであるならば、読まないわけにはいきません。
あとは、例外的に朝子が魅力的すぎて参っちゃうはず。

8位 ロック・オブ・モーゼス

 

朝倉桜は京都の私立校に通う高校二年生。同級生の「モーゼ」こと百瀬は幼いころから天才ギタリストともてはやされ、今はプロで活躍中だ。学校に居場所を見出せない桜はいつのころからか目立たぬように行動するのが習い性になっていたが、モーゼの強い勧めでギターを始めることに。すぐにギターを始めることに。すぐにギターの虜になった桜は高校を中退し、モーゼ率いるバンド「モーゼス」に加入。プロのミュージシャンになることを決意するが…。
熱情、誇り、挫折、成長―青春の全てがここにある。心を掻き鳴らす、珠玉の青春音楽小説。
https://www.amazon.co.jp/dp/B010CQ09A2

花村萬月と言えば暴力と性ですが、この小説にはそれが(あまり)出てきません。肩すかしを食らうかもしれません、花村萬月じゃなくて良いのでは?と思うかもしれません。
けれど、小説中から花村萬月のロックな魂がにじみ出てきて、凄味に圧倒されます。全てのオールドロック好き、音楽好きに捧ぐ一冊。

7位 ブルース

 

南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。激しい時化に呻ぐ25万トンの巨大タンカーの中で、村上の友人、崔は死んだ。仕事中の事故とはいえ、崔を死に至らしめた原因は、日本刀を片手に彼らを監督する徳山の執拗ないたぶりにあった。村上を愛していた同性愛者徳山の嫉妬が、村上と親しかった崔を死に追いやったのだ。
横浜・寿町を舞台に、錆び付いたギタリスト村上とエキセントリックな歌姫(ヴォーカル)綾、そしてヤクザの徳山が奏でる哀しい旋律。

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花村萬月ファンからは相当支持の高い一作で、代表作のうちのひとつと言っても良いかも。
暴力と性描写がいつも以上に読み応え抜群です。一気読みできるほどおもしろいですが、長いので花村萬月初めての方は他から入った方がよいかも。ファンは必読の作品です。

6位 惜春

 

琵琶湖のほとり、田圃の真ん中で派手なネオンを輝かせる雄琴(おごと)のソープランド街。そのひとつ、〈城〉のオーナーに騙され、佐山豊は東京から連れてこられた。二十歳の童貞青年は理不尽な労働環境に悲嘆し、姐さんたちの身辺の世話に悶々とする――。
彼女たちは汚れているのか。童貞青年が苦悩する感動青春小説。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00GXRUSVA

青春小説とありますが、そこは花村萬月。風俗・ソープランドが舞台の一癖も二癖もある物語に仕上げてきます。 労働のなか、確かに認められていく青年にいつの間にか感情移入してしまっているはず。

5位 皆月

 

諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。ある日突然、妻の沙夜子がコツコツ貯めた1千万円の貯金とともに蒸発してしまった。人生に躓き挫折した夫、妻も仕事も金も希望も、すべて失った中年男を救うのは、ヤクザ者の義弟とソープ嬢!? 
胸を打ち、魂を震わせる「再生」の物語。吉川英治文学新人賞受賞作品。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00GXRURR0

花村萬月の良いところは、救いがあるところ。もちろん全ての物語がハッピーエンドなわけもないですし、グロくて読むのもつらい散々なお話もあるんですが、絶対に悲惨なだけでは終わらないんですよね。
本作『皆月』でも、なんだか謎に泣ける展開になっていて、救われます。
あと、おっさんが主人公です。 アウトローな存在ではないので、いつもより余計に読みやすくてオススメです。

4位 浄夜

 

自称モデルで過食嘔吐を繰り返す宮島弥生は小説講座に通う作家志望の女。講師である芥川賞作家の花山と、彼の担当編集者の桐島は、彼女の作品から立ちのぼる負のエネルギーの強さに圧倒され衝撃を受ける。衝撃の問題作。
https://www.amazon.co.jp/dp/4575235334

小説を書いたことがありますか?書きたいと思ったことは?
少しでもそんな気持ちがあるのなら、読んでみてください。きっと読んで良かったと思えます。
負のエネルギーがすごいのですが、読後は何とも良い気持ち(?)になれる作品です。

3位 笑う山崎

 

ひどい目にたくさんあってきたか? 幻聴が起きたのかと思ってマリーは山崎を凝視した。冷酷無比の山崎が子持のフィリピン女性マリーを妻にした時、恐るべき運命がその幕を開けた…。極限の暴力と過剰なまでの愛を描く。
https://www.amazon.co.jp/dp/4396630603

山崎がとにかく魅力的。
胸糞悪い暴力をふるうし、冷酷すぎて悪寒がすることは間違いなくて、決して憧れるような存在ではないのです。
ですが、花村萬月の手にかかると何故だか知的で愛ある人物に見えちゃうんですよね。カリスマに惹かれてしまう理由が少しわかります。

2位 ワルツ

 

終戦直後の新宿。街の殆どが瓦礫と化し、明日の行方も見えぬ混乱の中、三人の男女は出逢う。僅かな金と煙草で組事務所の襲撃を請け負った特攻崩れの城山龍治。朝鮮人であることを隠しながら頭脳と美貌でのしあがろうとする林敬元。疎開先で強姦されそうになり東京へ流れてきた天涯孤独の生娘・岡崎百合子。
苛酷な運命に抗いながら見えない糸で絡まり合っていく三人の壮絶な人生を描破した、昭和スペクタクル小説、ここに開幕。
https://www.amazon.co.jp/dp/B009VZ8LBK

花村萬月は、読者を飢えさせておいて、ご褒美を与えるのが非常に上手い作家です。空腹は最高の調味料だとは言いますが、そのパターンが続くと内容が薄くなりがちなんですよね。
ただし、この作品はそんなこともおかまいなくわかっていてもカタルシスが味わえます。暴力が最高に気持ち良く描かれます。

1位 ゲルマニウムの夜

 

街で人を殺し、身を隠すため、自分が育った古巣の修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧(ろう)。その修道院でもなお、修道女を犯し、神父に性の奉仕をし、暴力の衝動に身を任せて教護院の少年たちや動物に鉄拳をふるい、冒涜の限りを尽くす。あらゆる汚辱を身にまとう──
もしや、それこそ現代では「神」に最も近く在る道なのだろうか?世紀末の虚無の中、〈神の子〉は暴走する。目指すは、僕の王国!第119回芥川賞を受賞した戦慄の問題作にして、「王国記」シリーズ第一作。

https://www.amazon.co.jp/dp/B009DECXK4

花村満月の暴力・性・宗教・哲学、多くが詰まった一作です。過激な描写が多く、特にグロテスクな表現が嫌いな人には薦めて良いか若干の疑問です。読む人を選ぶ側面もあるけれど、これは読んでみて欲しい。 
序盤はまだまだ甘さの残る主人公が、変わっていく姿が良いです。暴力的なカタルシスがあるので、自暴自棄な気分の時に。

おわりに

花村萬月のおすすめ小説9作をランキング形式で紹介しました!
純文学で性と暴力の描写を売りにするっていう、最近あまり読むことのできない貴重な作家です。
当然、暴力や性が解放されたあとのカタルシスが半端ないので、劇薬のような快感が味わえます。ただし取り扱いには注意。

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