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高橋源一郎の笑える前衛文学を7つ集めてみた

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 文学界の前衛的なルールチェンジャー

散文詩的な文体で言語を異化し、教養的なハイカルチャーからマンガ・テレビといった大衆文化までを幅広く引用した、パロディやパスティーシュを駆使する前衛的な作風。日本のポストモダン文学を代表する作家の一人である。
高橋源一郎 - Wikipedia

文学者以外の活動としては、競馬評論家としてテレビに出ていたり、政治的な発言(大学闘争時は運動家)をしたり。室井佑月とのそれを含む5度の結婚をしたり、と忙しい高橋源一郎。
経歴からはどんな人か想像がつきにくいかもしれませんが、作品はかなり尖ってます。
通常の物語という体裁から解き放たれた、自由な文体が特徴で最大の魅力です。
あらすじなんておかまいなしの、めちゃくちゃ笑える小説を書くんですよね。パロディ満載、それでいてセンチメンタルになれる作品を書くとんでもない技量を持った作家です。
この記事では高橋源一郎のおすすめ小説ベスト7をランキング形式で紹介します!

目次

ランキング

  • 独自ランキング
  • ”文学”を舐めたB面に徹した結果生まれた芸術
  • あらすじを説明するのが困難な作家
  • 型破りな文学を求める読者へおすすめ

 

それではランキングどうぞ!

7位 優雅で感傷的な日本野球

 

ぼくは野球を知らなかった。ぼくの友だちもパパもママも先生さえも知らなかった。「野球を教わりたいんです」―“日本野球”創世の神髄が時空と国境を越えていま物語られる。一九八五年、阪神タイガースは本当に優勝したのだろうか?第一回三島由紀夫賞受賞の名作。
https://www.amazon.co.jp/dp/4309408028

およそ『文学』というものを舐めくさったかのような視線で書かれた傑作小説。全編笑えまくりです。
野球についておもしろおかしく語られているなんていうレベルじゃありません。もはや野球関係なしの短編もいくつかあるほど。笑 
常人の発想を容易に超えたぶっ飛んだ内容になってます。往年の名選手・名監督たちもそこかしこに登場して、野球好きにとっても楽しい内容です。

6位 銀河鉄道の彼方に

 

「いつか、人間は、世界の究極の秘密を知ることができるんじゃないだろうか」宇宙船から突如失踪したジョバンニの父。「宇宙でいちばん孤独な男」の話と、最期に遺された「あまのがわのまっくろなあな」という謎のコトバ。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』が21世紀に!高橋源一郎の新たな代表作!
https://www.amazon.co.jp/dp/4087714365

この作品の宮沢賢治も含めて、高橋源一郎は様々な文学者を題材に小説を書きます。オマージュと言ってもよいでしょう。ただし、内容は原作(?)からは程遠いぶっとんだ内容になっています。読めばわかりますが、およそ想像できる範囲を更に超えて、逸脱してくるのです。
本作はエンタメとしての切れ味はイマイチかもしれません。ただし、『死とは?』『銀河の果てってどうなっているんだろう?』そんなことを久々に考えたい大人には超おすすめです。

5位 さようなら、ギャングたち

 

詩人の「わたし」と恋人の「S・B(ソング・ブック)」と猫の「ヘンリー4世」が営む超現実的な愛の生活を独創的な文体で描く。発表時、吉本隆明が「現在までのところポップ文学の最高の作品だと思う。村上春樹があり糸井重里があり、村上龍があり、それ以前には筒井康隆があり栗本薫がありというような優れた達成が無意識に踏まえられてはじめて出てきたものだ」と絶賛した高橋源一郎のデビュー作。
https://www.amazon.co.jp/dp/4061975625

鮮烈なデビュー作。
およそ物語のルールを無視していて、いうなればクリエイターである自分自信がルール作成者となっているのが高橋源一郎の特徴です。長い文学史の中で、ある程度お決まりのパターン、みたいなものは出来上がってきているのですが、そのパターンをことごとく壊す、それでいておもしろいという。
あらすじを説明するのは困難だけれども、この作品を読めば、高橋源一郎がなぜすごいのかが一発でわかります。が、ベストではないのがすごいところ。 

4位 さよならクリストファー・ロビン

 

最後に残ったのは、きみとぼくだけだった―
お話の主人公たちとともに「虚無」と戦う物語。
https://www.amazon.co.jp/dp/4104508020

これもまたあらすじを説明するのが難しい。笑 
物語の登場人物は、語られなくなってしまうと無になってしまう。例えば私たちも、他人の物語の中で生きているとしたら、語られなければ同じく無になってしまうのか。。。
一瞬にして語り手も語られる者も消え去った時には、なにが起こるのか。。。
震災のことを念頭に置いているのか、センチメンタルな空気がいつも以上に漂う作品です。

3位 官能小説家

 

文壇を揺るがす大スキャンダル発覚!森鴎外と樋口一葉の「不倫」を軸に、漱石、啄木、桃水、タカハシゲンイチロウら明治と現代の小説家たちが時空を超えて入り乱れ、文学を語り、愛を交わす、著者初の官能小説。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00JUJXVJ4

『日本文学盛衰史』に通じる作品集なので、それを読んでから読むとより楽しいかも。いつも通りの規格外な発想が楽しい。
官能的なのは、直接行為がある部分ではなく、心が交わっていく様を描いた部分かなと感じましたね。芸術的。

2位 日本文学盛衰史

 

「何をどう書けばいいのか?」近代日本文学の黎明期、使える文体や描くべきテーマを求めて苦悩する作家たち。そして…漱石は鴎外に「たまごっち」をねだり、啄木は伝言ダイヤルにはまり、花袋はアダルトビデオの監督になる!?近代文学史上のスーパースターが総登場する超絶長編小説。伊藤整文学賞受賞作。
https://www.amazon.co.jp/dp/4062747812

明治、近代文学そのものをパロディにしたような傑作小説。 
文豪たちの変態性癖ぶりだったり、俗への疎さなんかを、痛烈にパロっています。笑 なんか文豪だと少し性癖がおかしくても芸術だ、みたいになりがちですが、確かに現代的に言えばAV監督してる、だとか、変なものを収集してる、だとかに言い換えられるんですよね。
視点がめちゃくちゃおもしろい。これを読むと逆に石川啄木についてもっと知りたくなるかも。笑

1位 ミヤザワケンジ・グレーテスト・ヒッツ

 

現代の“ミヤザワケンジ”が描く24の物語。 もうひとつの「風の又三郎」や「注文の多い料理店」はどんなお話? 壊れた時間の住人たちがおくる、真夜中のヒットパレード。「すばる」で連載された「ミヤザワケンジ全集」がついに一冊に!
https://www.amazon.co.jp/dp/4087747573

高橋源一郎が宮沢賢治に捧ぐ物語。
『銀河鉄道の彼方に』は、この作品の番外編って感じですね。本作グレーテスト・ヒッツの方が、読む楽しみにあふれているので、まずはこちらからがオススメ。
(清貧なイメージの)”宮沢賢治が読んだらどう思うんだろう!?”っていうような際どい物語もたくさんあります。タイトルは『セロ弾きのゴーシュ』などお馴染みのタイトルなんですが、現代風になった、とかでなく、全く違う作品になっているのでご注意を。
とにかく高橋源一郎の宮沢賢治愛が伝わります。超絶おもしろいです。

おわりに

高橋源一郎のおすすめ小説ベスト7作をランキング形式で紹介しました!
オマージュやパロディ満載のふざけた作家と思われるかもしれません。しかし、小説のルールを逸脱して自分でルールを作ってしまうという偉大なるクリエーターなんですよね。
ルールチェンジャーが一番強い。過去作を未だに読んでも古びていない型破りな小説です。

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