はじめに:詩的、幻想的な文体。ブラックユーモアを操る天才作家
読んでいるだけで、どこか懐かしい気持ちになれて、センチメンタルな少年少女時代の匂いが香ってくるかのような詩的な文体。かと思えば、舞台を宇宙や、空想の世界に移してちょっぴりハードで、現代社会への皮肉に溢れた物語を紡ぎだす天才作家ブラッドベリ。
この記事ではそんなブラッドベリのおすすめ作品を20作一気に紹介していきます。
略歴(wikiより)
1938年から1942年まで新聞の販売をしており、その間にヘンリー・ハースとの共作の「振り子」が『スーパー・サイエンス・ストーリーズ』に掲載され、プロ作家になった。
1947年、処女短編集『黒いカーニバル』(Dark Carnival)をアーカム・ハウスから刊行した。続いてダブルディから刊行された『火星年代記』『刺青の男』で名声を得る。
1947年、1948年に、アメリカの年間短編傑作集(いわゆるO・ヘンリー賞)に2年連続して作品が収録された(1947年に「集会」が収録、1948年に「発電所」が第三席で入賞)[2]。1954年、アメリカ芸術文学協会賞、カリフォルニア・コモンウェルズ・クラブのゴールド・メダル賞を受賞した。
またハーマン・メルヴィル原作、ジョン・ヒューストン監督の映画『白鯨』の脚本を担当した。
晩年はロサンゼルスに在住し、著作活動を続けた。2012年6月5日に91歳で死去[3]。
特撮監督のレイ・ハリーハウゼンとは高校時代からの友人である。
さっそくランキングいってみましょう!
目次
- はじめに:詩的、幻想的な文体。ブラックユーモアを操る天才作家
- 目次
- 20位 バビロン行きの夜行列車
- 19位 夜のスイッチ
- 18位 黒いカーニバル
- 17位 刺青の男
- 16位 二人がここにいる不思議
- 15位 ウは宇宙船のウ
- 14位 塵よりよみがえり
- 13位 猫のパジャマ
- 12位 十月の旅人
- 11位 火星の笛吹き
- 10位とうに夜半を過ぎて
- 9位 何かが道をやってくる
- 8位 10月はたそがれの国
- 7位 メランコリイの妙薬
- 6位 歌おう、感電するほどの喜びを!
- 5位 太陽の黄金の林檎
- 4位 火星年代記
- 3位 たんぽぽのお酒
- 2位 さよなら僕の夏
- 1位 華氏451度
- おわりに
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20位 バビロン行きの夜行列車
旅先、フィレンツェの路上での思いがけない出会いから始まる一日を描く、とびきり優しい傑作コメ ディ(「覚えてるかい? おれのこと」)。名も知らぬひとりの美しい女性を探して、レストランからレストランへとパリの街を奔走する青年の恋のゆくえ(「似合いのカップル」)。地球から千六百万キロ離れた宇宙船でみつかった密航者の正体は・・・・・・。(「ミスター・ペイル」)。SF、ラブストーリー、幻想譚といった多彩なスタイルのなかに、抒情と感情とゆたかな想像の魅力がつまった二十一篇。物語の魔術師・ブラッドベリが遺した、とっておきの短編集。
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もうね。名前からして完璧でしょ。なに、この空想が進みそうなタイトル。この題名から妄想を膨らませて酒飲んで、一晩は話せるでしょ。そんなことに付き合ってくれる人なんていないって?笑
ブラッドベリの感性を持ちながら世界を見てみたいなぁ。きっと素晴らしい体験ができるはず。それができない私たちは、ブラッドベリの本を読むのです。
19位 夜のスイッチ
暗いところが嫌いで、明かりがないといられない男の子のお話。当然その子は夜が大きらい。ほかの子どもたちが夏の夜、外で遊んでいるときに、独りぽっちになってしまいます。すると彼のもとに「ダーク」と名乗る女の子がやってきて、「わたしが“夜”にひきあわせてあげる」というのです…。
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これはね、ブラッドベリファンへのプレゼントとして最適です。
で、大人のファンには可能なら新版を贈ってあげてください。エレガントで洗練されたデザインなので。逆に、子どもがいらっしゃるファンには旧版がいいかも。子供が気に入るポップさが残っているから。子どもにブラッドベリの本を読ませたい!って親御さんはぜひ。ぜひぜひ。
なんにせよ、これはね、ブラッドベリファンへのプレゼントとして最適です(大事)
18位 黒いカーニバル
ブラッドベリの幻の作品集として名高い処女短篇集『黒いカーニバル』から精選した作品にウィアード・テールズなどのパルプ雑誌に発表された作品を加えた初期傑作選。深夜のカーニバルで、団長が乗った観覧車がくるくる逆まわりするたびに奇怪なことが起こる「黒い観覧車」、かつての想い人である少女を失った湖を男が婚約者とともに再び訪れる「みずうみ」など、叙情SFの名手が贈る恐怖と幻想にあふれた24篇の物語。
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ブラッドベリの幼少期の暮らしや未来観みたいなものは、現代っ子からするとそれこそおとぎ話みたいなもののようなんです。つまり、ブラッドベリの紡ぎあげるおとぎ話は、おとぎ話のおとぎ話、いわば2層構造になっているんですよね。なので、若者こそ読むと良いですよ。
脂の乗った時代のから読むのが良いので、これはファン以外には激オススメではないけれど、処女短編集なのでこれから読み始めるっていうのもありっちゃあり。
17位 刺青の男
暑い昼下がりにもかかわらず、その男はシャツのボタンを胸元から手首まできっちりとかけていた。彼は、全身に彫った18の刺青を隠していたのだ。夜になり、月光を浴びると刺青の絵は動きだして、18の物語を紡ぎはじめた…。流星群のごとく宇宙空間に投げ出された男たちを描く「万華鏡」、ロケットにとりつかれた父親を息子の目から綴る「ロケット・マン」など、刺青が映しだす18篇を収録した、幻想と詩情に満ちた短篇集。
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紹介文を見るだけで、インスパイアされませんか?ブラッドベリはもうブラッドベリというジャンルなんですよね。
彼の物語はSFでもないし(SF作家ですが)、ファンタジィでもない(ファンタジィ・幻想文学作家ですが)。もうそれがよくわかる傑作短編集。
彼は全身に彫った18の刺青を隠していたのだ。隠していたのだ!
16位 二人がここにいる不思議

- 作者: レイブラッドベリ,Ray Bradbury,伊藤典夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/12/27
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 29回
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太めと痩せのカップルの、出会いと別れと再会の物語「ローレル・アンド・ハーディ恋愛騒動」、天国まで自慢のワインを持って行こうとする呑んべえ領主に抗して村人たちが考えた作戦が意表をつく「ご領主に乾杯、別れに乾杯!」など、23編のジンワリいい話を集めた待望の短編集。ちぐはぐな会話としんみりした読後感が楽しい表題作は、今は亡き両親をレストランに招待した男の話。
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23作も入ったお得な短編集。ブラッドベリは短編がすごく上手いです。さっぱり読者を引き込んで、ユーモア溢れる文体で読み手を飽きさせません。今作でも、お手本のような作品が味わえます。
表題作『二人がここにいる不思議』(I Suppose You Are Wondering Why We Are Here?)は深く静かに印象に残ります。切なさと、馬鹿らしさと、懐かしさ、いろんな感情がうねりながら読者の心にしっかり傷跡を残していく名作です。
15位 ウは宇宙船のウ
幻想と叙情の詩人ブラッドベリの魔法の力で、読者はこの世には見えないものを見せられ、触れられないものに触れることができる。読者は、あるときは太古の昔に誘なわれ、またあるときは突如として未来の果てまで運ばれてゆく。「太陽の金色のりんご」「霜と炎」「霧笛」など、ブラッドベリ自身が16編を自選した珠玉の短編集。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4488612059
ブラッドベリが自選した傑作短篇集。
ブラッドベリ独特の世界が確立されています。代表作が収録された作品は他にもあるので、15位としました。
14位 塵よりよみがえり
小高い丘に建つ一軒の屋敷。住む者は、ミイラのおばあちゃん、心を自由に飛ばす魔女セシー、鏡に映らない夫婦、たったひとりの人間の子ティモシー。いまここで、魔力をもつ一族の集会がはじまる。そして、何かが変わる日もまた近い…ファンタジーの巨匠が五十五年の歳月をかけて完成させた、とても特別な物語。
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作者の頭の中を覗いてみたいと思わせる作品。読んでいると次から次へと不思議な脳内に映像の洪水が溢れ出してきます。
感性を刺激しまくられます。
13位 猫のパジャマ
「あたしは猫好きなの」「ぼくだってそうさ」―仔猫を拾った見知らぬ男女の出合いをめぐる、最高のラブストーリー「猫のパジャマ」をはじめ、初期の傑作「さなぎ」他、人生の断片を描いたスケッチ、SF、奇譚など、巨匠ブラッドベリのすべてが詰まった短篇集。絶筆となった自伝的エッセイ「連れて帰ってくれ」を特別収録。
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晩年の作品たちが読める短編集。80過ぎてもこんなに豊かな物語を書けるのか、というような作品ばかり。
表題作『猫の』パジャマ、は確実に読んでおきたい一作です。
12位 十月の旅人
ハロウィーンの夜、妻への不信と愛への渇望に引き裂かれた男の惨劇を描く「十月のゲーム」、ある夜、火星に暮らす人びとが天空に浮かぶ地球に見たものは…「休日」、所有者の願望をどんなことでもかなえてしまう不思議な機械を手にした男の驚くべき顛末「ドゥーダット」など、SF界きっての目利き伊藤典夫が、ブラッドベリの初期作品群から珠玉の10篇を厳選!甘美で冷たい詩情漂う名品の数々を、どうぞご堪能あれ!
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日本オリジナルの短編集。題名がいいですよね。
初期の粗めの作品もたくさんありますが、詩人、ブラッドベリの感性が爆発した作品集です。
11位 火星の笛吹き
抒情と幻想の詩人、ブラッドベリはSFから怪奇、幻想小説まで、ジャンルにとらわれずに活躍している。“時の囚人”と呼ばれ、ガラスカプセルの振子に閉じ込められ、唯一の生存者となった青年の物語「振子」や、時間を止める能力を持つ青年のひき起こした悲劇「ホラーボッケンのジレンマ」(本邦初訳)など。若きブセッベリの処期スペースファンタジー20編。
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こちらも初期の作品集。スペースファンタジーということですが、ブラッドベリのSFはハードではありません。異星人との戦闘や未知の惑星でのサバイバル、などなどがメインになることは稀です。むしろもっとセンチメンタルでノスタルジックなものが主題です。独特の世界観は、読まないとわかりませんのでぜひ手に取ってみてください。
この作品集でも、切ないラストやオチが読後に残る物語が中心です。
10位とうに夜半を過ぎて
海ぞいの断崖の木にぶらさがり揺れていた少女の死体を乗せて闇の中を走る救急車が遭遇する不思議な恐怖を描く表題作ほか、SFの詩人が贈る、とっておきの21編。これぞブラッドベリの真骨頂!
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ブラッドベリ作品には強く郷愁の念が湧きおこる作品が多くあります。この短編集にもそんな感覚を蘇らせてくれる物語がたくさんあります。
読書の喜びが詰まった一作。
9位 何かが道をやってくる
ある年の万聖節前夜、ジムとウィルの十三歳の二少年は、一夜のうちに永久に子供ではなくなった。カーニバルの騒音の中で回転木馬の進行につれて、時間は現在から未来へ過去から未来へと変わり、魔女や恐竜の徘徊する悪夢のような世界が展開する。SF界の抒情詩人が世に問う絶妙なリズム。ポオの衣鉢をつぐ一大ファンタジー。
『ブラッドベリの最高傑作』と、スティーブン・キングも舌を巻いた、一大ファンタジー。有名な冒頭から一気に引き込まれて、ずっとブラッドベリの詩的な表現があなたの脳内を悪夢で埋め尽くすでしょう。
8位 10月はたそがれの国
ポオの衣鉢をつぐ幻想文学の第一人者、SFの抒情詩人ブラッドベリの名声を確立した処女短編集「闇のカーニバル」全編に、新たに五つの新作を加えた珠玉の作品集。後期のSFファンタジーを中心とした短編とは異なり、ここには怪異と幻想と夢魔の世界がなまなましく息づいている。ジョー・マグナイニの挿絵十二枚を付す決定版。
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ブラッドベリ処女短編集で評価がすごく高い、『闇のカーニバル』+新作を加えた作品集です。
ブラッドベリの一級品の言葉選びが味わえます。何気ない表現や描写が、昔いつか感じた感覚を呼び起こしてくれるのです。
7位 メランコリイの妙薬
生まれながらの夢想家にして、怪異の耽美家、叙情溢れる感傷家にして、詩人。根強く圧倒的な人気を誇るブラッドベリの魅力を余すところなく紹介する傑作集。珠玉の二十二篇収録。
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ブラッドベリが若くて経験も積んできていた全盛期の作品集。22編どれもが輝きを持っていて、命のみずみずしさが感じられます。
6位 歌おう、感電するほどの喜びを!

歌おう、感電するほどの喜びを!〔新版〕 (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: レイブラッドベリ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/06/15
- メディア: Kindle版
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母さんが死んで悲しみにくれるわが家に、ある日「電子おばあさん」がやってきた。ぼくたちとおばあさんが過ごした日々を描いた表題作、ヘミングウェイにオマージュを捧げた「キリマンジャロ・マシーン」など、幻想味溢れる全18篇を収録。『歌おう、感電するほどの喜びを!』『キリマンジャロ・マシーン』合本版
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電子おばあさんがやってくる表題作は破壊力抜群です。
Amazon商品紹介にも言及がありますが、ヘミングウェイは、より少ない言葉で多くを表すことを信条としてソリッドな文体が持ち味でした。ブラッドベリも多くは語らずとも、読者の心に多くのイメージを植え付けます。そんな職人の仕事を堪能できる一冊です。
5位 太陽の黄金の林檎
冷えきった地球を救うために太陽から“火”を持ち帰ろうとする宇宙船を描いた表題作「太陽の黄金の林檎」、灯台の霧笛の音を仲間の声だと思いこみ、海の底から現れる古代生物の悲哀を綴った「霧笛」、タイム・トラベルの危険性を鋭くえぐる「サウンド・オブ・サンダー(雷のような音)」など、SFの抒情詩人たる巨匠の幻想と詩情にあふれる22篇を収録した短篇集。
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短編集としては最もクオリティが高い、というか傑作を集めまくった作品集です。ブラッドベリ短編集はたくさん出ていて、収録作品も被っていることがありますが、これ一冊あればまずは良い、という短編集です。
並みの作家であれば生涯に一作書ければ良い、というレベルの作品をがんがん書けちゃう天才の物語を是非体験してください。
4位 火星年代記
人類は火星へ火星へと寄せ波のように押し寄せ、やがて地球人の村ができ、町ができ、哀れな火星人たちは、その廃墟からしだいに姿を消していった……抒情と幻想の詩人が、オムニバス中・短篇によって紡ぎあげた、SF文学史上に燦然と輝く永遠の記念碑。新たな序文と二短篇を加えた〔新版〕を底本とする電子書籍版登場。
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『火星年代記』、『華氏451度』、ブラッドベリはすさまじい成果をこの世に残して行きました。
SFとして読むのではなく、美しい散文が紡ぐ物語として読むのが、ブラッドベリの読み方です。幻想的な世界を舞いながら、痛烈な風刺を感じ取って笑えるようになれれば立派なブラッドベリファンです。ある意味毒されてしまっています。
3位 たんぽぽのお酒
輝く夏の陽ざしのなか、12歳の少年ダグラスはそよ風にのって走る。その多感な心にきざまれる数々の不思議な事件と黄金の夢…。夏のはじめに仕込んだタンポポのお酒一壜一壜にこめられた、少年の愛と孤独と夢と成長の物語。「イメージの魔術師」ブラッドベリがおくる少年ファンタジーの永遠の名作。12歳からみんな。
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これは少年文学なのだろうか。繰り返し読んで、浮かんできたのは、少年の心を持ったブラッドベリの姿です。 夏休みが終わってしまうあの感覚、暗くなって友達とさよならをしなければならないあの時間。切ない瞬間を描かせたら、ブラッドベリは天才的です。
美しい少年時代のお話。名作です。超おすすめ。
2位 さよなら僕の夏
おかえり、ダグラス――。永遠の名作『たんぽぽのお酒』で描かれた、あの夏の日がよみがえる。あたらしい物語は一年後、夏の終わりにはじまる。子どもたちを支配する老人たちとの戦い、時計塔の爆破、はじめての異性への感情……。人生との和解を学びはじめた少年の心の揺らぎをあざやかに描いた、名手ブラッドベリによる少年文学の最高傑作。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794967136
私はリアルタイムで『たんぽぽのお酒』を読めていないのですが、往年のファンたちはまさか!!と思ったことでしょう。20年の時を超えて『たんぽぽのお酒』(このランキングの3位)の続編が描かれたのですから。
少年文学とありますが、明らかにこれは大人に向けて書かれています。老人と少年の戦い、そして和解、これはブラッドベリ自身の若さと老いを戦わせているかのようでもあります。Farewell Summerという題名もとてつもなく哀愁を誘っています。
もちろん子どもが読んでもおもしろいとはおもいますが、本作は、ブラッドベリファンに向けた贈り物です。
1位 華氏451度
華氏451度―この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わってゆく…。本が忌むべき禁制品となった未来を舞台に、SF界きっての抒情詩人が現代文明を鋭く風刺した不朽の名作、新訳で登場!
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全ての読書家必読の一冊!!
読書家だけが知っている人生の真理というものがあるはずです。能動的に物語に入っていった時、脳みそを刺激されるあの喜び。その喜びを侵害するものから真っ向勝負した一作です。
国民に支給され、絶えず情報を垂れ流され続ける『海の貝』。これは、何を表しているのか。。。現実世界でも、常に表現の自由は制限され続けてきています。牢獄に入れられた芸術家は世界中に何人もいますし、日本でだってPTAのおばさんや、老人たちがずっと厳しくアニメやマンガを取り締まっています。
それに、上記のようないわゆる公的な権力にだけ縛られているのではありません。知らず知らずのうちに自分の時間はどんどん企業に搾取されています。宣伝に縛られたテレビをずっと観たり、スマホを弄っている時間というのは自分の選びとった人生を生きている時間に入るのでしょうか。
語りだしたら止まらない、壮大なテーマを、圧倒的なおもしろさで描き切った本作、全ての読書家に超おすすめです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
詩的で幻想的、かつブラックユーモアが効いたブラッドベリ作品、ぜひ読んでみてください。
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