はじめに:経済的自由、行動の自由、人間関係からの自由、を得るために
サラリーマンの、多くが一度は夢見る起業。どのようなメリットがあるのでしょうか。
本書では経済的自由、行動の自由、人間関係からの自由、の3つが上げられています。簡単に言うと下記のようなものです。
- うまくいけば、(雇われの身と比べて)投入した熱量と時間がそのまま収入として返ってくる
- 好きな時に、好きなだけ、好きなことをして働ける
- 煩わしい人間関係は、ある程度清算することができる
頑張った分だけお金がもらえて、好きな時に好きなだけ働けて、うるさい上司に指図されることもない。そんな暮らしができたら理想ですね。
一方、起業10年後に、残っている割合は10%だと言われています。これだけ見ると、起業なんてハードルが高すぎる、と感じるものですが、実際には、ほとんどの場合、『何をすべきか』がわかっていないまま始めてしまって失敗することがほとんどのようです。
本書では、起業に際して、具体的に何をしなくてはいけないのかを俯瞰的に教えてくれています。成功の型をまずは学び、自分がその型をアレンジして崩していく過程、つまり『守破離』の『守』の部分を、かなりわかりやすく分解して解説されています。
目次
経営に必要な3つの力=商品力、営業力、管理力
『経営のパフォーマンス』=『商品力』×『営業力』×『管理力』
本書では絶対的な前提として、上記の公式が出てきます。
そもそも、起業すること、経営すること、というのはどういうことなのか、シンプルに考えると、とても簡単なところに行き着くでしょう。それは、モノ(サービス)を、顧客に売るということです。
つまり、売るものがあり、売る人がいて、お金を回収することができること、それが経営の必須条件です。
また、ここに出てくる登場人物はかなり少ないです。会社(ものを売る人)と顧客(ものを買う人)のみです。この関係性を良くしていく活動こそが、経営である、と本書では定義して、進めています。
そこで必要なのが3つの力、『商品力』、『営業力』、『管理力』です。
では、その3つの力はいったいなんなのか、どのように高めていくのか。ひとつずつ見ていきましょう。
商品力
商品力は下記の4つの価値を鍛えることで、『ファンの創出』をすることがゴールです。
- 存在価値
- 絶対価値
- 相対価値
- 認知価値
存在価値
ミッションを持って事業をしましょう、ということがポイントです。自分のことだけを考えていては、成り立たないことは既に述べました。会社と顧客がいて、始めて商売が成り立つのです。
もしミッションがない場合は、顧客目線でミッションを考えてみましょう。ミッションの立て方は大きく分けて二通りあります。
- 困り事を解決する(-を+へ)
- 便利・快楽を強化する(+を+++へ)
これを実現するためにどうするか、を考えて価値を高めていきましょう。
絶対価値
本書には価値を商品力の29cutsということで、29の切り口が紹介されています。網羅的で凄まじい密度です。ここは必読ポイント。
相対価値
相対価値=市場における自社の存在価値を、徹底的に考える事は大切です。ポジショニングと呼ばれていますね。
価格で差をつけるのか、品質で差をつけるのか、初期費用で差をつけるのか、女性を狙うのか、男性を狙うのか……などなど。
他者との差はなんなのか、どこで勝負するのか、を明確にしましょう。
認知価値
認知価値=ブランド力のことです。
ここで、ゴール『ファンの創出』にたどり着きます。顧客をファンにすると、継続的な関わりができるようになります。つまり会社と顧客の関係性づくりの到達点が、ファンの創出ということです。
この項目も、ファンづくりの8項目、など、使えるチェックリストが満載です。必読。
営業力
営業力は基本的な集客フローと同じです。『自然に売れる仕組みを作る』、がキーワードです。下記を押さえましょう。
- 集客
- 見込み客フォロー
- サイレントセールス
- CLVマネジメント
たくさんの人に認知してもらい、不明点や疑問点に答えることで不安を解消し、自らの意思で買ってもらう。営業の基本ですね。
最後のCLVマネジメントだけ聞き慣れない言葉だと思いますが、Customer Lifetime Value マネジメントで、顧客生涯価値、すなわち、一人の顧客から発生するすべての付加価値売り上げ、のことです。
アップセルやクロスセルを通じて、顧客のニーズにあった他の物も購入してもらうような動きをかけなければなりません。
管理力
管理力、のパートでは、社長不在の中でも商品力と営業力の両輪を回して、事業が回る体制をつくることがゴールとなります。
超重要指標『キャッシュ』をきちんと管理しながら、自分がいなくても回すことのできるチームビルディングをしながら5w1hを使って仕組み化を進めて、リスクマネジメントの観点から投資を行う。
おわりに
一つ一つの要素はびっくりするほどシンプルなto do だったのではないでしょうか。しかもそのto do が載った48枚のワークシート付きで、いつでも振り返ってチェックできるので、持ってて損のない一冊です。
これを完璧にやり切ることができれば100%成功しそうですね。まぁそれができるかどうかは、また別のお話ですが。
大量の情報をコンパクトに。キンドルがお勧め。