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中学国語の教科書でおなじみ、ねじめ正一おすすめ小説ランキングベスト7!【高円寺純情商店街】

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 古き良き時代を類型化してしまわない

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昭和の高度経済成長期。江戸時代の里山のエコな暮らし、商人の活き活きとした暮らし......etc。こういったものは、エンタメにすると”古き良き時代的感動もの”に扱われがちなんですよね。それはそれで良いんですよ。カタルシスを味わえるし。
ねじめ正一の作品にもそういった側面はなくはないんですが、それよりも、もっとその時代時々にあった切なさや悲しみ、哀愁みたいなものがむちゃくちゃ上手く描かれていて、魅力的なんですよね。単なる感動モノでは味わえない魅力を求めているなら、ねじめ正一!
この記事ではおすすめ小説7作をランキング形式で紹介します。

目次

ねじめ正一略歴(wiki)

高円寺北口商店街の乾物屋の長男として生まれる。1966年に乾物屋を廃業、父正也が美術・骨董を趣味としていたことから民芸店「ねじめ民芸店」を開店する。1972年に区画整理による立ち退きに遭い、阿佐ヶ谷・パール商店街に移転。現在もオーナーとして経営している。
日本文学学校にて鈴木志郎康に学び、実験的で暴力性の高い詩を発表する詩人としてデビュー。朗読パフォーマンスなども積極的に行う。高橋敏夫や絓秀実らとともに『季刊 現代批評』編集発行人。
自身の少年期の経験をもとにした『高円寺純情商店街』をはじめ、小説・エッセイの著書も多い。TBS番組審議会委員などを経験した。
ねじめ正一 - Wikipedia

ランキング

ランキング選定にあたってのポリシーと雑感を下記↓

  • 独自ランキング
  • ”カタルシスを伴う感動モノ”にはない切なさや哀愁が味わえる
  • かつお節・商店出現率高め

 

それではランキングどうぞ!

7位 熊谷突撃商店

 

女優熊谷真実・美由紀の母にして、美由紀の夫松田優作の闘病を見守ったひと―。著者の旧知の女性をモデルに、二歳で満州から引き揚げて後の山口での少女時代、静岡での女工時代、結婚して東京で店をはじめてからと、山あり谷ありの戦後をいつも全力で生きる主人公と、型にはまらないその家族たちの熱血物語を軽快に描く。
https://www.amazon.co.jp/dp/416755903X

懐かしい戦後の日本が描かれています。
そういうと、”古き良き時代”的センチメンタルな感情に流れガチなんですが、そういうのってあまりにも画一的だと思いませんか?
この小説では変わった主人公が型破りに活躍して、リアルな昭和を描きます。

6位 長嶋少年

 

すべての野球少年に捧げる、渾身の成長物語 「僕はサードです。背番号はもちろん〈3〉です」逆境にありながら、ひたすら長嶋に憧れ野球に打ち込む少年の成長を描く傑作長篇!
https://www.amazon.co.jp/dp/4167901870

客観的には残酷な世界のようにも見える世界で生きる主人公の野球少年の真っ直ぐさが切ない作品。少年の視点から物語を眺めていると、何だってできると信じていた、可能性に満ち溢れていた頃のことを思い出せるはず。
砂埃が舞う時代の空気感さえ感じられる名作です。 

5位 商人

 

江戸中期、日本橋瀬戸物町の鰹節商、伊勢屋にんべんの次男に生まれた伊之助。父亡き後、兄を支えて家業に精進するが、度重なる不運が伊勢屋を襲う。心身を病んでしまった兄の跡を継ぎ、三代目となった伊之助は「商人は何のために商売をするのか」という父の問いを胸に、大店の意地を捨てて苦難を乗り越え、商いの真髄を極めていく。江戸商人の心意気を描く傑作。第3回舟橋聖一文学賞受賞作。
https://www.amazon.co.jp/dp/4087468089

ねじめ正一は時代もの、江戸時代を舞台とする作品も書くんですよね。本作は、お得意のかつお節店にまつわる物語です。
長男視点ではなく、次男視点っていうのが良いんですよね。初めから責任感満タンっていうわけでない気楽さが特に。
後半以降の、主人公の成長(成熟?)が加速していく感覚がとても気持ち良いです。

4位 認知の母にキッスされ

 

おふくろ米寿、おれ六十四。今日も明日も、介護の日々。そして、母の認知症の妄想は加速していく……。「母の大脳、応答せよ! 」。
https://www.amazon.co.jp/dp/4120046737

ノンフィクション小説と言っても良い小説。
タイトルで感じ取ることができるとおり、読むのが辛い場面もたくさんあります。ただ、そこはねじめ正一お得意の乾いた切ない笑いとともに読ませるつくりになっています。
認知の母が放つ言葉が詩的な雰囲気を醸し出すのがたまらない。

3位 眼鏡屋直次郎

 

花の大江戸、文政年間。「全く新しい眼鏡を作ってやる!」と意気込む男がいた。日本橋の老舗眼鏡屋の跡継ぎ息子直次郎。蘭方医学を志し、長崎でシーボルト先生に師事したものの落ちこぼれ。自暴自棄になっていたところに舞い込んだ「女向け眼鏡を作ってほしい」という吉原一の美人太夫からの注文で目が醒めた。やっと見つけた自分の道をきわめるべく、再び長崎へ――。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00JEPX3LK

ねじめ正一の”江戸もの”最高傑作!
時代劇なのに、青春感がものすごい勢いで描かれています。ぐいぐい読ませる筆力を味わってください。 友情・恋愛・仕事、全てに熱く燃えていた時の頃が思い出せるはず。

2位 荒地の恋

 

五十三歳の男が親友の妻と恋に落ちた時、彼らの地獄は始まった。詩神と酒神に愛された男・田村隆一。感受性の強いその妻・明子。そして、北村太郎は明子に出会って家庭も職場も捨て、「言葉」を得る―。宿命で結ばれた「荒地派」の詩人たちの軌跡を直木賞作家が描く傑作長篇小説。第三回中央公論文芸賞受賞。
https://www.amazon.co.jp/dp/4167559048

年老いて、人生の終わりが見えてくる。そこではじめて芸術家として、詩人としての生き方を選ぶ。そんな男の生き方が描かれた作品です。
ねじめ正一作品には、芸術家にあこがれる中年がよく出てきます。そんな人物たちの中でも一番酷な生き方をさせているのが本作ではないでしょうか。
まっすぐ善く/悪く生きている登場人物たちが、物語のなかで輝いている一作です。

1位 高円寺純情商店街

 

高円寺駅北口「純情商店街」。魚屋や呉服屋、金物店などが軒を並べる賑やかな通りである。正一少年は商店街の中でも「削りがつをと言えば江州屋」と評判をとる乾物屋の一人息子だった――感受性豊かな一人の少年の瞳に映った父や母、商店街に暮らす人々のあり様を丹念に描き「かつてあったかもしれない東京」の佇まいを浮かび上がらせたハートウォーミングな物語。直木賞受賞作。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101021120

文句なしの一位は『高円寺純情商店街』!中学国語の教科書に載っていた”六月の蠅取り紙”も収録されています。 
設定が絶妙なんですよね。乾物屋の息子が主人公って、渋すぎやしませんか?中学生という、絶妙な年頃というのも良い。周囲の出来事を客観的に描けるベストな設定になっています。これが高校生、大学生だともう破綻します。主人公が恋愛に友情に燃えなくちゃいけなくなるから。
不器用でかっこつけな親父に苛立ちつつも憧れる。
優しくて働き者で母と祖母に無意識のうちに救われる。
様々な出来事に感性を揺さぶられながらも、この家族がいるから生きていられるんだというのが伝わります。
読後には、自分の家族が一層愛おしくなるはず。

おわりに

ねじめ正一のおすすめ小説7作を紹介しました!
中学国語の教科書に載っていたことで、読み始めたねじめ正一作品ですが、読みやすさがあってサクサク読めるのに、心に残る物語がたくさんあります。
読めば、庶民に流れる反骨心や家族愛、でっかい夢のことなんかを思い出せるはず。

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