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少し奇妙なおすすめ恋愛小説を10作厳選

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はじめに:少し奇妙な恋愛小説ランキングポリシー

  • 語り口/設定/恋愛対象/対象への執着...etcが奇妙な恋愛小説を選出
  • 独自ランキング
  • 一作家一作が原則
  • 海外文学、日本文学隔て無く選ぶようにした

それではさっそくランキングどうぞ!

 

10位 もしもし

もしもし (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

もしもし (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

 

 全編これ2人の男女の電話の会話からなるおかしなおかしな「電話小説」。しかもこの電話は成人向けのいわゆる会員制セックス・テレフォン。2人は想像力の限りをつくして自分たちが何に一番興奮するかを語り合う。全米でベストセラーとなった本書のテーマはいわば、想像の世界の「究極のH」。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4560071187

 とにかく衝撃、テレフォンセックスをしてるだけの本。

なぜだか下品じゃなくて、いや、下品なんだけれども、会話を聞いて場面を想像すると、むちゃくちゃお洒落な映画を見ているような気分になります。
ラスト、絶頂に達するまでの盛り上がりはもはや芸術。笑

 

9位 存在の耐えられない軽さ

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

 

苦悩する恋人たち。不思議な三角関係。男は、ひとりの男に特別な感情を抱いた。鮮烈でエロチック…。プラハの悲劇的政治状況下での男と女のかぎりない愛と転落を、美しく描きだす哲学的恋愛小説。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087603512

これもお洒落な恋愛小説。

『軽い』というキーワードをどう捉えるか。軽い男、主人公は確かに軽い男ではあるのですが、もちろんそんな直接的な意味だけではありません。

誰しもが交換可能な世界に生きているのか、もしこの愛が終わったら別の愛で相手は満たされるのだろうか、満たされないと言える根拠をあなたは持っているか、とすればどう行動するのが愛なのか。

永久に出れない迷宮に軽く入ることのできる小説。

  

8位 私たちがやったこと 

私たちがやったこと (新潮文庫)

私たちがやったこと (新潮文庫)

 

 互いが不可欠になるために、耳を聞こえなくした“私"と、目を見えなくした“あなた"。その愛の行方を描く表題作。二人きりで過ごすはずの、新婚旅行先のコテージに、夫の知人がどっと押し寄せ、困惑する“私"――「結婚の悦び」。

ホームケア・ワーカーの日常を描き、ラムダ文学賞などを受賞、静かな感動を呼んだ『体の贈り物』の著者が鋭く描く、人間関係と愛の不条理さ。幻想的で美しい短編集。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4102149325

『結婚の悦び』がすごい。映画のシーンで『愛してる』が出てきても、『お前は耳をを潰せるのか?』、と問いたくなるでしょう。


日本文学のあの名作にもある展開ですが、かなりクレイジーですね。 身体的にすごく結びついているのにとてもファンタジックな作品たちです。

 

7位 大きな木

おおきな木

おおきな木

  • 作者: シェル・シルヴァスタイン,Shel Silverstein,村上春樹
  • 出版社/メーカー: あすなろ書房
  • 発売日: 2010/09/02
  • メディア: ハードカバー
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 幼い男の子が成長し、老人になるまで、温かく見守り続ける1本の木。

木は自分の全てを彼に与えてしまいます。それでも木は幸せでした。
無償の愛が心にしみる村上春樹訳の世界的名作絵本。

あとがきに訳者の想いがあふれています。
「あなたはこの木に似ているかもしれません。
あなたはこの少年に似ているかもしれません。
それともひょっとして、両方に似ているかもしれません。
あなたは木であり、また少年であるかもしれません。
あなたがこの物語の中に何を感じるかは、もちろんあなたの自由です。
それをあえて言葉にする必要もありません。
そのために物語というものがあるのです。
物語は人の心を映す自然の鏡のようなものなのです。」
(村上春樹/訳者あとがきより)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4751525409

小説ちゃうがな、って感じですが、村上春樹の翻訳ということで一作だけ絵本がランクイン。 

物語的にはストレートと言えばストレート。しかし捉え方次第で、物語の力、という村上春樹の物語愛をも感じることができます。

 

 

6位 鳥たち

鳥たち (集英社文芸単行本)

鳥たち (集英社文芸単行本)

 

それぞれの母親を自殺によって相次いで失った「まこ」と「嵯峨」。二家族が共同生活をしていたアリゾナから日本に帰国して、まこは学校へ通い、嵯峨はパンを作りながら、お互いの存在だけを支えに暮らしはじめる。ヒッピーだった母親たちと、失われた美しい暮らし。

まこは、住んでいた土地のイメージや死をめぐる悪夢に夜ごとさいなまれる。しかし、日常生活やさまざまな人との対話を通じて、ふたりはゆっくりゆっくり、死と孤独の淵から抜け出す光を見つけていく――。

https://www.amazon.co.jp/dp/B00R7R8UH4

『いきのこり●ぼくら/青葉市子』の歌詞がまるまま引用されてはじめる最初が異様かつドラマチック。

ボストンバッグには 3日分の服と あの子の写真 今頃どこかで 泣いてるかもね それとも 笑ってるかもね 新しい亡骸を 峡谷へ落とす 鳥たちがすかさず啄んで 空高く 運んでく 毎日の風景 ずっとつづくね 慣れなきゃ、いきのこり ぼくら
『いきのこり ぼくら/青葉市子』

青葉市子はクラシックギターを片手に幻想的な歌声が魅力的な女性アーティスト。坂本隆一や細野晴臣、小山田圭吾、U-zhaanら、層々たるメンバーともセッションしたりしてます。

いきのこり●ぼくら

いきのこり●ぼくら

  • 青葉市子
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 愛と死が近いところにあることを教えてくれる恋愛小説。

 

5位 妖女サイベルの呼び声

妖女サイベルの呼び声 (ハヤカワ文庫 FT 1)

妖女サイベルの呼び声 (ハヤカワ文庫 FT 1)

 

 魔術師サイベルは、エルド山の奥深く、伝説の幻獣たちのみを友として魔術の修行に励んでいた。そんなある日、サイベルのもとをひとりの騎士が訪れ、赤児を預けてゆく。その赤児はサイベルの血縁であり、しかもエルドウォルド国の王子にほかならなかった。やがてサイベルは、凄惨な王位継承争いに否応なく巻き込まれて、人間の世界の愛と憎しみを知り始める......


第1解世界幻想文学大賞に輝く不朽のハイ・ファンタジィ!

(本書背表紙より)

 

私たちはいつ『愛』を知る/知ったのだろうか。あなたはこの問いに答えることができるでしょうか。

もしあなたがたったひとりで生きているとしたら、どのように愛をしるのか、本書の場合は愛を知るとはどのようなことなのか、物語を通して語られています。

名前を呼ぶ、それは実はものすごく意味のあることなのかもしれません。

 

4位 ひとさらい

ひとさらい (光文社古典新訳文庫)

ひとさらい (光文社古典新訳文庫)

 

 貧しい親に捨てられたり放置されたりしている子供たちをさらうことで自らの「家族」を築き、威厳ある父親となったビグア大佐。だが、とある少女を新たに迎えて以来、彼の「親心」は、それとは別の感情とせめぎ合うようになり…。心優しい誘拐犯の悲哀がにじむ物語。待望の新訳!

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334752802

 屈折した愛というものはとても切ないものです。

 

ありふれた愛は賞賛され、祝福され、感動を呼びます。

しかし屈折した愛/マイノリティな愛/偏愛は蔑まれ、差別され、敵視されます。愛にははっきり価値の差が存在するのです。


本作は、屈折する『ありふれていない』愛情が奇妙な一策です。

 

3位 スプートニクの恋人

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

 

この世の物とは思えない奇妙な恋の物語

22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。――そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー!!

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062731290

 美しい中年の女性ミュウの不思議なエピソードが強烈なインパクトを残す。そて、村上春樹の文体の総決算とも言われる本作は、とんでもない距離を行き来する比喩のオンパレードで、詩的な文章が多数あります。

 

彼女はテーブルの上に身を乗り出した。「長い話だけど、聞きたい?」

「聞きたいもなにも、君はそれを話すためにわざわざここまで来たんだろう?いくら長くてもかまわない、話せばいい。本筋のほかに、序曲と<妖精の踊り>がついてるのなら、それもいっしょでいい」

わたしは今、ローマの路地の奥にある屋外カフェで、悪魔の汗みたいに濃いエスプレッソ・コーヒーをすすりながらこの手紙を書いているのですが

 

どうやったらこんな文章思いつけるのでしょうか......

 

2位 愛の夢とか

愛の夢とか (講談社文庫)

愛の夢とか (講談社文庫)

 

あのとき、ふたりが世界のすべてになった―。ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。別れた恋人との約束の植物園に向かう「日曜日はどこへ」他、なにげない日常の中でささやかな光を放つ瞬間を美しい言葉で綴った七つの物語。谷崎潤一郎賞受賞作にして著者初の短編集。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062933683

 『十三月怪談』がとてつもなく良い。『世界の中心で愛を叫ぶ』を川上未映子流にするとこうなるのだろうな、という感じ。もちろん褒めています。ただ、純文学を主戦場とする作家が描くのはちょっと違和感があるのです。

 

文体もすっきりと洗練されてきていて感じが美しさを増しているように思います。物語もどれも心に直接刺すように、人間の(言わば)汚いところ目掛けて向かってきます。

世界的にも読まれていいんじゃないかと思わせる作品集。

 

 

1位 春琴抄

春琴抄

春琴抄

 

 盲目の三味線師匠春琴に仕える佐助の愛と献身を描いて谷崎文学の頂点をなす作品。幼い頃から春琴に付添い、彼女にとってなくてはならぬ人間になっていた奉公人の佐助は、後年春琴がその美貌を何者かによって傷つけられるや、彼女の面影を脳裡に永遠に保有するため自ら盲目の世界に入る。単なる被虐趣味をつきぬけて、思考と官能が融合した美の陶酔の世界をくりひろげる。

https://www.amazon.co.jp/dp/B00DOT564O

 8位レベッカブラウンの『私たちがやったこと』で目と耳を塞ぐ愛を書きましたが、谷崎は約80年前にとっくにやっていました。

谷崎に愛を突き詰めさせるとこのような形になるのか、『語らない』部分を描くという日本文学らしい作品です。

普通の愛情とは何か、愛ってなんのか、という思考を飛び越えて、佐助に謎の感情が芽生えること間違い無し。

 

 おわりに

いかがでしたでしょうか。

映画で描かれる恋愛はカタルシスを伴う愛です。結ばれないはずの二人が結ばれる、死に行く間際に確かめられる愛、カタルシス、とても気持ちの良いものです。

しかし、たまには違った目線の愛を小説で読んで見ると新たな発見があるかもしれません。

 

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