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知的生産活動の全てがわかる/『知的トレーニングの技術』花村太郎

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はじめに:元祖知的生産のための手法まとめ本

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偉大な先人たちが残した手法を引用し、自分だけの思考法を完成させる方法を記した、知的生産の手法まとめ本です。元祖であり、唯一無二、伝説のテキストです。

 

構成は、二部構成で準備編と実践編に分かれています。

前者では計画の立て方、発想法、モチベーション管理の方法などの土台作り、後者は分析術、読書術、執筆術、など実際に知的生産を行うことを想定した形式となっています。

 

それぞれ、歴史上に悠然と並ぶ偉人から手法を抜き出しています。、それも、ただ形式だけを抜き出したのではありません。『なぜ』を突き詰めて、その方法に至った根本的な動機や理由まで考えぬかれているので信頼性がかなり高いです。

偉人たちは、孔子、アインシュタイン、夏目漱石、ポール・ヴァレリー、ハイデガー、ライプニッツ、ナポコフ、本居宣長、レーニン、三島由紀夫、ソクラテス、ニーチェ、ナポコフ、フロイト、ボルヘス......etc多岐に及び、著者の知識の深さには脱帽です。

 

知的トレーニングの技術〔完全独習版〕 (ちくま学芸文庫)

知的トレーニングの技術〔完全独習版〕 (ちくま学芸文庫)

 

目次 

 

準備編

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この記事では下記3つにポイントを当てたいと思います。

  1. 志を立て(立志術)
  2. それを維持し(ヤル気術)
  3. 深掘り、具体化する(発問・発想トレーニング法)

あくまで土台作り、基本的なことばかりですが、この編に書かれていることは当たり前にこなしたいものです。

 

1.立志術

ここでは、孔子や島崎藤村の手法から人生で為すべきことの構築方法を語っています。孔子や藤村は、人生を7~10年区切りにしてその時点で何をマスターしておくべきなのか、その時点でないとできないことはなんなのかを考えておく必要がある、と説いています。


第一のポイントです。自分の全生涯にわたる知的プランを出来る限り明確にする。


そして第二のポイントは、志は高くもつ、ということです。志と、実力の落差こそが、成長意欲とエネルギーを生むからです。


そして最後のポイントは、声を大にして自分の志を公表する、ということです。自分を追い込み、自己暗示をしていくのです。本田圭佑やイチローの手法にも通じていますね。

 

どうでしょうか、突飛なことは何もしていないのです。偉人たちも、行ってきたことは誰でもできることばかり。実際に実行するかどうかは、個々人の選択次第ですね。

 

2.ヤル気術

ヤル気術、ここではモチベーションを下げずに志を実現する方法について書かれています。

その方法は、習慣化する、ということ。 万物には慣性の法則があり、一度続けてしまえばあとは惰性でも動き続けることができる、というものです。どうせ惰性で続くならば、生産性の高いものを習慣化したいものですね。

 

本書では、ヴァレリーやゲーテ、森鴎外の習慣を紹介し、成し遂げた原動力について論じられています。

 

3.発問・発想トレーニング法

志を具体化するために、より深掘りし、具体化するための方法が書かれています。

考えを深掘りするために必要なのは、自ら問いを発することができるようになることです。なぜなのか、どうすればよいか、を自問自答し、考えが深まるのです。

では、どうすれば効果的な問いは生まれるのでしょうか。 問いは知的好奇心からうまれるのです。そして、知的好奇心は、自分のなかの知的空白部、欠如感覚から生まれるのです。自分に欠けているものを把握し、飢えておくことで、いつでも知的アンテナを最高の状態にしておけば、良い問いが常に出るようになります。

 

実践編

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 ここでは執筆術に焦点をあてて論じたいと思います。本書には、読み、考え、書くための技術が11章立てで書かれていますが、最も衝撃的な執筆術のみ取り上げます。その他も必読ではありますので、それは本書を手にとって見てください。

 

執筆術 

読んで情報を集め、それを通して思考を深めたものを書く。書きながら考え、更に深めて書く。全ての知的生産のサイクルが『書く』でサイクルを閉じることになります。

ここでは執筆の際の方法のみに焦点を当てます。

 

ポイントは文章とは線である、ということを認識することです。どういうことかというと、文章は(ある種の)論理の通った線形にしか進まないものだ、ということです。

 

そのように考え進めると、文章を線形に進めるために、内容を構成することが最も大切です。柱をたてるという言い方を本書ではしています。600枚の小説を書くのであれば、第一部、第二部、と二部立てにする、更にそれらを10章に立てて、書くべきことを考える、というようなことです。

 

更に、それらの応用として、もっとミクロの目で観た時の執筆術も紹介されています。それは、段落を掌握せよ、ということです。


文章執筆時には形式的な段落ひとつを、意味を持つ最小単位だという認識を持って書くべきだ、ということですね。思考の塊は、段落というかたちで保証されるのです。もちろん段落の中には文がたくさん含まれることになるわけですが、それを最小単位にするような意識では文章は書けないのです。

 

おわりに

一記事ではまとめられないほど内容が濃い本書ですが、個人的に刺さったポイントをお伝えしました。知的活動の喜びを感じる『伝説の』名著です。おすすめです。

知的トレーニングの技術〔完全独習版〕 (ちくま学芸文庫)

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