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ファンの私ががっかりした荒木飛呂彦の2作

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個人的好きな漫画家トップ10に入る荒木飛呂彦だけど外れもある

 

この記事を読んでいるということは、十中八九あなたはジョジョファンだろうと思う。私は何部が好きかって?

ほぼ劇画じゃね?っていう硬派な1部、波紋が進化し、表現の幅がグッと広がった2部、みんな大好き完璧な物語の3部に、いつ読んでも楽しい4部、ひたすら終盤が熱い5部、酷評もちらほらありつつも新しい試みだった7部、直接的(描写が美しい)、間接的(物語がセクシー)に、よりエロスの感じられる8部、全部好きだが、あえて選ぶなら6部!

評価の低い6部に逆張りして、”通”感を出そうとしているわけではない。純粋にマンガであんなに宇宙を感じたのは、手塚治虫の”火の鳥”以来だったのだ。

というわけで、ジョジョ大好き、というか荒木飛呂彦の哲学が大好き!ということでほかの多くの作品(短編やエッセイ含む)なんかにも手は出しているのだが、意外と荒木先生、がっかりすることも多い。

この記事では、あえてその中から失望が大きかった2作を取り上げてみようと思う。漫画を一作、漫画論を一作だ。

目次

 

ハードル上げすぎて失敗:荒木飛呂彦の漫画術

 

正直言おう。
この本にはずいぶんがっかりした。なぜならむちゃくちゃ楽しみにしていたのにも関わらず期待を裏切られたからだ。
本書の帯にはこのようなことが書いてある。
”企業秘密を公にするのですから、僕にとっては、正直、不利益な本なのです”
内容を知っている既読者からすると、これはハードルあげすぎである。

私は漫画家志望ではないが、漫画・小説の技術などにとても興味がある。技術という面から作品をより深く楽しみたいときがあるからだ(いつもではない)。
だが、端的に言って、この本で書かれている技術に真新しいことは何も書かれていなかった。

どういうことか正しく言おう。本書では、プロットの立て方やキャラ作り、テーマの浮かび上がらせ方など、創作の基本というべきものが書かれてある。しかし荒木先生一流のオリジナリティは、私には感じられなかった。既視感のある概念だらけだった。

先行して出版されている他作者のマンガ創作論や小説技術論、ハリウッドのシナリオ論を学んだ方がよほど良い。私が感動した3冊を紹介する。

 

 

 

 

 

”荒木飛呂彦の漫画術”は上記の3冊を読んだ時のような感動がなかったから、失望してしまったのだ。

期待外れの短編集:死刑執行中脱獄進行中

これもがっかりした。期待が大きいと、失望も大きい。 

既読だった他の短編集で言うと、岸部露伴の短編シリーズはまぁまぁ読めるレベルだと思う。で、ネットレビュー、および周りの評判とかを聞くと、本作が絶賛されてるから読んでみた。

上記のような状況から、個人的には、富樫義博の超名作短編”レベルE”(登場キャラこそ重複はあるが、短編と言っていいだろう)とまではいかなくても、それ相応のレベルを期待していた。

が、”レベルE”はもちろん、”ジョジョの奇妙な冒険”の各エピソードにも届いていないレベル。かろうじて”デッドマンズQ”がいい味を出せそうな予感を感じさせるが、これもメタ的なノリ(吉良吉影が出てくる)のおかげというところもある。とにかく物足りないのだ。

短編だから物足りないのは仕方ない、という理屈は通じない。”レベルE”はどの短編も、想像を簡単に超えてくる。未読者は必読。

 

 

おわりに

荒木先生の2作から学んだことは、ハードルを上げすぎると、失望も大きい、ということだ。

ただし、そのせいで他の作品、特にジョジョの評価が落ちるなんてことはなく、漫画史上に燦然と輝き続けることは言うまでもない。

繰り返し繰り返し読むに堪えるエンタメ作品というものは少ないが、その数少ない傑作のうちの一つに間違いはないのだから。

 

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