はじめに:5年生存率50%と宣告されて......
もしこれが邦画だったら、ああ、よくある『もうすぐ死んでしまう男が主人公の、お涙頂戴系』ね、と言って観るのを止めてたと思うんですが、ハリウッド映画のおもしろいところは、切り口が本当に多様なところ。この映画も、単なるお涙頂戴系映画でないところが良いです。
邦画の名誉のために、邦画でも名監督が取る映画に良い映画はたくさんありますが、中堅どころ(失礼ですが、ヒット規模的には中ヒットなのでご容赦ください)でこのクオリティの映画がたくさん出せるっていうのは、ハリウッドと基本的な脚本レベルに差があるなーと感じちゃいますね。
目次
あらすじ&作品概要
いきなり余命わずか決定!?なんで僕が??
酒もたばこもやらない“普通”の青年アダムに突然告げられた病気は“ガン”だった。27歳という若さで、5年生存率50%のまさかの余命宣告。その日から、アダムの生活環境は一変。よそよそしい会社の同僚たち、看病の重圧に負けそうな恋人、同居を迫る世話焼きの母親…。病気のアダムに気遣って誰も今までどおりに接してくれない!!ただ一人女好きの親友カイルをのぞいては。
カイルと一緒に病気を“ネタ”にナンパしたり、新米セラピストのキャサリンと手探りのカウンセリングを通して、“ガン”の日々を笑い飛ばそうとするアダム。しかし刻一刻と進行する病魔に、やがてアダムは平穏を装うことができなくなる・・・。監督: ジョナサン・レヴィン
脚本・製作総指揮: ウィル・レイサー
出演: ジョセフ・ゴードン=レヴィット、セス・ローゲン、アナ・ケンドリック、ブライス・ダラス・ハワード、アンジェリカ・ヒューストン
イライラするが人間味溢れるキャラクターたち
口先だけ寄り添おうとして裏切る芸術家の彼女、生存確率50%なんてギャンブルならバカ勝ちじゃないか、デリカシーの無い女たらしの友人とくちうるさい過保護な母親、科書通りのことしか話せないセラピスト......彼は悲しみを心から吐き出すことのできないまま、死へと向かっていくのです。
彼女は浮気するし、友人は病人である自分をダシにしてナンパまでする、序盤は無茶苦茶な展開が続きますが、友人がアホすぎて、めちゃめちゃ笑えます。
あと、序盤に自然の画が出てきますが、撮影で使われたバンクーバーの景色がとても良いです。
変わるのは......?
周りの無茶苦茶なキャラクターですが、彼らが実はイイ奴だった、みたいな展開はほぼありません(あるにはありますが、最重要ポイントではない)。
メインは、少しずつ悟っていく主人公の姿です。この主人公を演じるのは『インセプション』アーサー役のジョセフ・ゴードン=レヴィットで、かなりの二枚目ですが、ジャケットにもあるように坊主になります。
そこからの弱々しい状態で色々な感情表現をするのが見ものです。。熱いです。自分が変わる事によって、周りとの関係性も変わっていくのか、ということを見事に描き切っています。