人よりたくさん考える
ある考えを届けたい時に、人はプレゼンを行ったり、文章を書いたりして表現します。同じように素晴らしいアイデアを届けているのに、人々に響く表現と、届かない表現があるのは何故でしょうか。
本書はその問に対するある種の答えです。
人に伝わる表現というのは、『思いつくものではない、考えるものである』ということ。人よりたくさん考えなさい、と言っているんですね。とにかく頑張れ、と。身も蓋もないですね(本人も認めています)。笑
例えばアイデアを伝える名人スティーブジョブズや孫正義の名プレゼン、オバマの数々の名演説は全て周到に考えられ、戦略的に構成が練られていると言います。ここでヒントが出てきました。構成の練り方については先人たちの切り開いてきた知恵が既にあるということなのです!
つまり、考えなくてはいけないが、『どのように考えれば良いのか』は学べるということ。
考えるを深めるための4つの扉について、書かれています。
目次
考えを深めるための4つの扉
これから出てくる4つの扉は、全て電通の新米コピーライター向け講習でも話されているということです。コピーライターと呼ばれる人たちがどのような訓練を受けるのかも少しわかりますよ。
例えばコピーライター糸井重里のtweetなんていつも素敵ですよね。ここに書いてある技術が完璧に自分のものになっているな、という感じです。
それでは1つずつ見ていきましょう。
1. 商品・企業の扉
この扉は基本中の基本です。伝えたいアイデア・商品に関して再定義しよう、ということです。岩崎俊一さんのコピー『年賀状は贈り物だと思う』を例にとって説明がされています。
『ハガキ買わなくちゃね』、と言うのではなく、『贈り物買わなくちゃね』と言う方が、より感情が乗るということですね。年賀状って何なのだろう、ということを考えていくことによって、出てきたコピーです。
本書では、言葉の使い方には4つあると書かれています。それは、
- 宣言
- 提案
- 描写
- 挑発
の4つです。
上記の岩崎俊一さんのコピーは宣言ですが、再定義して、どのように使うのか、まで考えることで、更に考えが深まります。
2. ターゲットの扉
ある考えを届けたいターゲットを設定して考えを深めていくことが、2つ目の扉です。重要なのは『相手主体』で考えられているところです。伝えるのは自分だが、伝わるかどうかは相手が決めるのですから。
本書では『ラジオ』の良さを伝えるコピーの思考過程が書かれていますが、
- ドライバー
- 音楽好き
- アイドルオタク
などをターゲットとしたおもしろいコピーと、それが生まれる瞬間が書いてあります。この思考過程をモノにすれば、何でも応用可能だな、と思います。考えるのは面倒ではありますが。笑
3. 競合の扉
『比較』の視点を持って考えを深めよう、と言っているのがこの扉です。自分のアイデア・商品にあって、競合のアイデア・商品にないのはなんなのか、を考えようということです。
引き続き『ラジオ』をテーマに、競合を『新聞』、『テレビ』、『ipod』と設定して、考えを深めていきます。中には2. ターゲットの扉と組み合わせるものもあって、『おっ、なるほど!』と唸らせられました。
4. 時代・社会の扉
これまでの扉から、一気に壮大になりました。あるアイデアがその時代・社会でどのような位置づけなのか。どの切り口からそのアイデアにスポットライトを当てるのか。
再び『ラジオ』をテーマに、スケールの大きなコピーが次々出てきます。この扉を使うと、一気に『プロ感』が出てくるので破壊力としてはすさまじいな。と思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
この本はただの文字しか載っていませんが、言葉のプロたちの考え方を学ぶことで文字を使えばなんだってできる、という実感が湧く本です。日々のアウトプットの+αとして使えます。
あわせて読みたい