ランキングポリシー
- 村上春樹作品限定
- 村上春樹初体験の人へ
- 普通の人が30分くらいでさくっと読めるものの中から厳選
- できるだけ広い時代の作品を紹介
- 独自ランキング
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では早速ランキングどうぞ
10位 螢
1967年の春から翌年の秋にかけて、「僕」は文京区にある学生寮の二人部屋に住んでいた。病的なまでに清潔好きな同居人のおかげで、部屋の床はちりひとつなく、灰皿はいつも洗ってあった。
5月の日曜日の午後、「僕」は中央線の電車の中で高校時代の友人の恋人と偶然出会う。彼女は東京の郊外にある女子大に入学していた。
螢 (村上春樹) - Wikipedia
短編集『螢・納屋を焼く』に収録。
長編小説『ノルウェイの森』の下敷きとなっている作品。
村上春樹はよく短編小説で色んなトライアルをしてから長編に取り組みます。まずはお気に入りの短編に出会ってから、少しあとの長編を読むと、間違いなくハマれます。
"十八と十九の間を行ったり来たりしている方が正しい"と信じる人へ。
9位 ハナレイ・ベイ
サチの息子は19歳のときに、カウアイ島のハナレイ湾でサーフィン中に鮫に右脚を食いちぎられて死んだ。サチはホノルルの日本領事館からその知らせを受け、ハワイへ飛んだ。現地で火葬を済ませ、一週間ハナレイの町に滞在した。
ハナレイ・ベイ - Wikipedia
短編集『東京奇譚集 』に収録。
村上春樹の作品には『喪失』をテーマにした作品が多くあり、この作品も広い意味ではそれに含まれると思います。楽しい話じゃないのに、読むだけでハナレイ・ベイが好きになります。クールなサチの生き方も魅力的。
8位 ねじまき鳥と火曜日の女たち
本短編をもとに、『ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編』(新潮社、1994年4月)の冒頭の章、「1 火曜日のねじまき鳥、六本の指と四つの乳房について」が書かれることとなった
ねじまき鳥と火曜日の女たち - Wikipedia
短編集『パン屋再襲撃』に収録。
『あなたの頭の中のどこかに致命的な資格があるとは思わないの?』電話口の向こうで、裸の女は言います。私たちはそれを読みながら震えます。言葉が刺さってくるのです。独特の緊張感の中の洒落た会話が素敵な作品です。
7位 イエスタデイ
「僕」の知っている限り、ビートルズの『イエスタデイ』に関西弁の歌詞をつけた人間は、木樽という男一人しかない。彼は風呂に入るとよくその歌を歌った。木樽は生まれも育ちも東京都大田区田園調布だったが、ほぼ完璧な関西弁をしゃべった。子供の頃から阪神タイガースのファンだった彼は、「血の滲むような努力をして」関西弁を身につけたという。
イエスタデイ (村上春樹) - Wikipedia
短編集『女のいない男たち』に収録。
2014年発売の短編集に収録。けったいな小説です。こてこての関西弁がどこか懐かしく、それだけでも読んでいてとても楽しい。19か20そこらの男女の物語書かせると、本当に上手い。いつまでたっても素敵ですね。
6位 かえるくん、東京を救う
片桐がアパートの部屋に戻ると、巨大な蛙が待っていた。蛙は「ぼくのことはかえるくんと呼んでください」と言い、片桐に早くドアを閉めて中に入るよう促した。
片桐は蛙が返済金の交渉のために遣わされた「クミの関係者」と思う。かえるくんは片桐が「東京安全信用金庫新宿支店融資管理課の係長補佐」をしていることを知っていて、これは借金の返済とは関係のない話だと答える。
短編集『神の子たちはみな踊る』に収録。
『ぼく一人であいつに勝てる確率は、アンナ・カレーニナが驀進してくる機関車に勝てる確率より、少しましな程度でしょう』
『闇の中でみみずくんと闘いながらドストエフスキーの『白夜』のことをふと思いだしました』
『ぼくがここにやってきたのは、東京を壊滅から救うためです』
全て蛙の台詞です。
クロノ・トリガーのカエルと本作のかえるくんは、私の中でかっこいいカエルno.1をいつも競っています。
村上春樹は独特の文体や比喩表現から、色物作家という風に見られがちですが、ストーリーテラーとして単純に優れていることがわかると思います。
5位 踊る小人
夢の中で小人が出てきて、踊りませんかと言った。「僕」は疲れていたので申し出を断ると、小人はレコードに合わせて一人で踊った。それから「僕」に身の上話を語った。
小人は南に来て踊り手になった。それが評判となり皇帝の前でも踊った。しかし革命が起って皇帝が亡くなると町を追われ、今は森の中で暮らしている、とのことだった。
短編集『螢・納屋を焼く』に収録。
詩的なお話。しかし視覚的なイメージに溢れていて、アップダウンがあり、話のテンポもよくて文字通り一瞬で読めてしまいます。
4位 納屋を焼く
知り合いの結婚パーティで「僕」は広告モデルをしている「彼女」と知り合い、ほどなく付きあい始めた。パントマイムが趣味の「彼女」には「僕」以外にも複数のボーイ・フレンドがいる。
そのうちの1人と「僕」はたまたまあるとき食事をすることになった。大麻と酒の場でのとりとめのないやりとりの途中で、「彼女」の新しい恋人は不意にこんなことを口にする。「時々納屋を焼くんです」
短編集『螢・納屋を焼く』に収録。
奇妙な話です。何故男は納屋を焼くのか。物語はある瞬間から歪のようなものが生まれていき、そのズレは続きます。少しづつ何かがおかしい。間違っている。そんな世界観が体験できるでしょう。
『納屋を焼く』ということは私たちにとって何をすることなのでしょう。あなたも説明不明なこと、していませんか。
3位 TVピープル
「僕」は電気会社の広報宣伝部の仕事をしていて、4年前に結婚した。妻は小さな出版社に勤めていて、自然食についての専門誌を編集している。
妻のいない日曜日の夕方、3人のTVピープルが部屋にやってきた。彼らはサイドボードの上に載っていた置き時計と妻の雑誌をどかし、そこに運び入れたテレビを置いた。スイッチを入れると画面は真っ白になった。
TVピープル (小説) - Wikipedia
短編集『TVピープル』に収録。
『かえるくん、と東京を救う 』のかえるくんも印象的ですが、TVピープルも超印象的なキャラクターのうちの一つです。
TVピープルの出現で普通の日常が少しの拍子で狂い、時計の音までどんどんおかしくなっていきます。『タルップ・ク・シャウス タルップ・ク・シャウス』
この小説でも喪失がテーマにあります。
2位 象の消滅
その頃「僕」は法律事務所に勤めており、妻はデザイン・スクールで事務の仕事をしていた。2週間ほど前に結婚したばかりだった。
二人は深夜に突然、耐え難い空腹を覚える。それは昔「僕」が親友と行ったパン屋襲撃の失敗が、夫婦に呪いとして降りかかっているせいだと妻は説明した。「僕」たちはかけられた呪いを解くために散弾銃で武装し、再び襲撃を目論むが・・・
短編集『パン屋再襲撃』に収録。
『再』襲撃とありますが、昔の襲撃の話もあるんです。糸井重里との共著ショートショート集『夢で会いましょう』に収録。個人的にはショートショートのおもしろさは糸井重里の方がおもしろかった気が。。。
話はそれましたが、コメディでとても読みやすいです。笑えるんですが謎の切ない読後感もあり、まんまと村上春樹にやられてしまうでしょう。本当に感心してしまいます。
1位 ファミリー・アフェア
「僕」と妹が二人で暮らすようになったのは5年前の春、「僕」が22で妹が18のときだった。両親が、「僕」と一緒に住むのならという条件で妹が東京の大学に出ることを許したのだ。
妹は旅行代理店に就職した年の夏休みに女友だちとアメリカの西海岸に出かけ、そのツアーグループで一緒になった男と親しくなった。
短編集『パン屋再襲撃』に収録。
村上春樹作品の良さが100パーセント詰まった作品です。大げさな展開はありませんが、彼の文体、空気感、ある種の信念が詰まっています。男はロマンチスト、女もロマンチスト、が彼の作風でしたが、しっかりした女性を描いています。
『ノルウェイの森』の登場人物である「小林緑」、『ノルウェイの森』の登場人物である「小林緑」はこの作品のおかげで生まれたとの発言もあるようです。
おすすめ海外小説100冊
村上春樹好きの私が選んだおすすめ100冊です。良かったら読んでみてください。