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『禅マインド ビギナーズマインド』鈴木俊隆/ジョブズが愛読した禅のバイブル

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はじめに:イチロー以外にもアメリカに鈴木はいた

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アメリカのスズキと言えばイチロー・スズキですよね。しかし、イチローの渡米前から、禅の世界に二人の精神的巨人がいたのです。それが鈴木大拙と鈴木俊隆です。

 

ノーベル平和賞候補とまで言われた鈴木大拙と、アメリカのカウンターカルチャーの一端にまでなった、アメリカでの禅の第一線の指導者である鈴木俊隆。本書は後者、鈴木俊隆の説話を日本語訳したもので、スティーブ・ジョブズに多大な影響を与えたとされる一冊です。 

禅マインド ビギナーズ・マインド

禅マインド ビギナーズ・マインド

 

 

目次

 

鈴木俊英の略歴&本書概要

スティーブ・ジョブズが青春時代にむさぼり読んだ、禅のバイブル。ジョブズの伝記『スティーブ・ジョブズ』のなかでも深い影響を受けた本として掲載されている『zen mind beginner's mind』の新訳完全版。(日本版『スティーブ・ジョブズ』では旧訳タイトル『禅へのいざない』で掲載)

アップル創業前夜、世界を洞察する智慧をジョブズは禅に見た。ジョブズの真実を理解するために必読の一冊。
1970年に米国で出版以来、世界中で読まれている禅の入門書。 著者の鈴木俊隆老師は1959年に渡米し、サンフランシスコ禅センターを設立。渡米12年の間にアメリカにおける禅の基礎を築いた。アレン・ギンズバーグ、ゲイリー・スナイダーらビートニクたちを惹きつけ、1960年代、カウンターカルチャーのさなか、多くの若者が俊隆老師のもとで瞑想をした。

のちにアップルを創業することになるスティーブ・ジョブズはまさにそうしたムーヴメントの申し子として本書と出会い、禅の道に入っていく。

Amazon.co.jp: 禅マインド ビギナーズ・マインド 電子書籍: 鈴木俊隆, 松永太郎: Kindleストア

 

 

ジョブズが求めた、削ぎ落とされたシンプルさ(繰り返される無の感覚表現)

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本書はその説法を訳したものを実際に聞いているかのような臨場感で読み進めることができますが、その中で、鈴木俊隆は繰り返し『無』についてアメリカの西海岸の若者に説きます。

 

例えばこんな形で『正しい努力』に関する説法は説かれます。

普通、拍手するには両手がいると考えます。片手では音が鳴らない、と考えます。しかし実際は、片手が音なのです。聞こえないかもしれませんが、音はあります。両手を鳴らしても音はします。しかし、両手を鳴らす前に音がなければ、あなたは、音を立てる、ということができません。音を立てる前に音があるのです。音がすでにあるので、音を立てることができます。音はどこにもあります。練習すれば、音は鳴ります。

(本文より)

 

どれだけの若者が理解できたのでしょうか。初見ではわかりにくいことだらけです。ここから浮かび上がるのは、もともと存在しえないものは、存在することができない、という考え方です。存在がしうるからこそ、実際に存在することができる、ということです。

まだまだ『無』の説法は続きます。

あなたは、個人としてこの世界に生きています。しかし人間の姿を取る前に、すでにあなたは、ここにいます。いつもいます。私たちは、いつも、すでに、ここにいるのです。おわかりでしょうか?生まれなければ、ここにはいない、と考えるかもしれません。しかし、あなたというものがいないのに、どうしてこの世界に、あなたが現れることができると言うのでしょう。すでにあなたは存在していたので、ここに現れることができたのです。また存在しなければ、消え去ることもできません……

(本文より) 

このような説法を通して、鈴木俊隆は、人は、その純粋性の中に全てを持っているのだ、という真理を伝えようとします。ジョブズの思想はかなりこの思想に近いという気がしています。今何かと騒がしいApple界隈ですが、 デザインの本質はこの説法に込められていると私は感じました。

 

数々の心揺さぶる名言たち

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心が震える説話は上述の『正しい努力』に関する説話以外にもたくさんあります。ここでは印象に残る心揺さぶる名言を紹介します。どのような解釈でそれが語られているのかは、本書を読んでみてください。

  • 『初心者の心の中には多くの可能性があります。しかし専門家と言われる人の心にはそれはほとんどありません』
  • 『あなたが「ボス」なのです。ボスが寝てしまえば、ほかのものも寝てしまいます。ボスが正しいことを行えば、誰もが正しいことを、正しいときに行うのです。これが仏の道の秘密です』 
  • 『私たちが結跏趺坐(座禅の姿勢)の姿勢をとってすわるとき、私たちは創造のもっとも基本的な活動を、今、ここで、行っているのです。たぶん、三つの種類の創造があります。座禅を終えて立ち上がるとき、私たちは自分自身に気が付きます。座っている時は「無」です。自分がなんであるかも知りません。ただ座っているのです。しかし、立ち上がるとき、あなたは、現れます! これが創造の最初のステップです。あなたがそこにいるとき、すべてもそこにあります。すべては一度につくられるのです』

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

本書で成功しているところは鈴木俊隆が『禅をするものの宗教は問わない』、という姿勢が大きいと思います。自分の中に中に入っていくものだから、外側へ向かっていく宗教性とは関係がないのだ、というのです。

 

実際、アメリカでは信仰としてではなく、エクササイズやマインドセットのテクニックとして瞑想がされていますし、そのように広めた功績は大きいなと。ジョブズを魅了した禅の思想を、魅力的な本説話集で体験してみてください。

 

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