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きゃすのキラキラブログ

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2つの顔を持つトルーマン・カポーティの作品7つをチョイス

小説
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はじめに:トルーマン・カポーティって?

 19歳の時に掲載された最初の作品『ミリアム』でオー・ヘンリー賞を受賞し、「アンファン・テリブル(恐るべき子供)」と評される。

23歳で初めての長編『遠い声 遠い部屋』を出版し、若き天才作家として注目を浴びた。その後は中編『ティファニーで朝食を』が映画化されヒットするなど、1作ごとに華やかな話題をふりまき映画にも出演し、ノーマン・メイラーとともに作家としては珍しくゴシップ欄の常連になるなど、公私の両面で話題を振りまいた。

1966年に発表した『冷血』では、実際に起きた一家殺人事件を題材にすることにより、ノンフィクション・ノベルという新たなジャンルを切り開いた。

幼年期の素朴な田舎暮らしの、温かくも残酷な作品、都会的なお洒落な上流階級の暮らし、2つの色を持つ天才作家です。


年齢を重ねるにつれて産みの苦しみを味わい続け、更に酒やドラッグ中毒になるなど、早熟の天才芸術家にありがちな人生のしぼみ方をするかのように思われましたが、晩年にも意外と良い作品を残しています。

 

全くの駄作もあります。その辺りは過去記事に。

cass-9999.hatenablog.com

 

 

目次

 

 

 村上春樹訳で読みたい3作

 過去記事でも言及していますが、翻訳者としての村上春樹の功績は、彼のネームバリューで、アメリカの名もない(日本で)作家を広めたことだと思っています。翻訳の腕では、柴田元幸や岸本佐知子には及びませんが、トルーマン・カポーティ作品には、非常によく合います!村上訳、おすすめです。

cass-9999.hatenablog.com

 

 

ティファニーで朝食を 

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

 

 第二次大戦下のニューヨークで、居並びセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。気まぐれで可憐、そして天真爛漫な階下の住人に近づきたい、駆け出し小説家の僕の部屋の呼び鈴を、夜更けに鳴らしたのは他ならぬホリーだった…。表題作ほか、端正な文体と魅力あふれる人物造形で著者の名声を不動のものにした作品集を、清新な新訳でおくる。

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 ホリーがたまらなくかっこいい。文学好きでなくても誰もがハマってしまうヒロインではないでしょうか。『若い輝きの中にだけある素敵な何か』。この呪縛に同じように取り憑かれる人は少なくありません。

 

映画化もされており、大ヒットしました。オードリー・ヘップバーンが好演したのもありますが、何より原作の持つパワーが半端ないです。映画とは違った展開が見られるので、原作がまだの人に読んで欲しい一作。

 

誕生日の子どもたち

誕生日の子どもたち (文春文庫)

誕生日の子どもたち (文春文庫)

 

 少年や少女の無垢さ=イノセンスをテーマにして描かれた物語を収録。純粋で強く美しく、きわめて脆く傷つきやすく、また毒を含んで残酷なカポーティの6編の短編小説を、村上春樹が訳出。

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 カポーティーの一面『田舎の素朴な少年』側の作品です。


アメリカで暮らしたことがなくても、田舎で暮らしたことがなくでも、田舎への回帰、郷愁、センチメンタルな気持ちが蘇ってきます。彼の筆力が大きいです。

 

読者を『その気』にさせるのが本当に上手い。私たちは彼の物語を読むとき、彼の視点になりきります。物語の登場人物が原っぱで寝転ぶとき、私たちは草の匂いを嗅ぎます。彼らが川に入って行くとき、水の冷たさを感じます。そういう力が彼の物語にはあります。

 

村上春樹と波長合うのでしょう。センチメンタルな気分を誘う翻訳も◎。

 

 クリスマスの思い出

クリスマスの思い出

クリスマスの思い出

 

 ささやかな、けれどかけがえのないクリスマス。画と文がともに語りかけるシリーズ最終巻はカラー頁を加え、より美しく、愛らしく

クリスマスの思い出 | トルーマン カポーティ, 山本 容子, 村上 春樹 | 本 | Amazon.co.jp

郷愁を誘う名作です。大人になってから会わなくなった友人たちのことを思って切なくなります。

 

 装丁もお洒落で、クリスマスプレゼントにもおすすめです。

 

多彩な味を持つ4作

 遠い声遠い部屋

遠い声遠い部屋 (新潮文庫)

遠い声遠い部屋 (新潮文庫)

 

 父親を探してアメリカ南部の小さな町を訪れたジョエルを主人公に、近づきつつある大人の世界を予感して怯えるひとりの少年の、屈折した心理と移ろいやすい感情を見事に捉えた半自伝的な処女長編。


戦後アメリカ文学界に彗星のごとく登場したカポーティにより、新鮮な言語感覚と幻想に満ちた文体で構成されたこの小説は、発表当時から大きな波紋を呼び起した記念碑的作品である。

遠い声遠い部屋 (新潮文庫) : カポーティ, 河野 一郎 : 本 : Amazon

 ヘンリー・ジェイムズ、マーク・トウェイン、エドガー・アラン・ポー、キャザー、セアラ・オーン・ジューエット、フローベール、モーバッサン、プルースト、チェーホフ、ツルゲーネフ、ジェイン、オースティン、ディケンズなどに影響を受けたことがあとがきに記されています。

また、ヘミングウェイやスタインベック、ドライサーら、リアリズム作家からの脱却も指摘されており、幻想的でゴシックで、どこかなまめかしい文体が貫かれています。そういう意味でも、村上春樹と相性がいいのでしょうね。(本書は河野訳です)

 

あなたのなかで死んでいる感受性が主人公と共鳴しあって、感情が揺さぶられること間違いなしの一作。

 

夜の樹

夜の樹 (新潮文庫)

夜の樹 (新潮文庫)

 

 ニューヨークのマンションで、ありふれた毎日を送る未亡人は、静かに雪の降りしきる夜、〈ミリアム〉と名乗る美しい少女と出会った……。ふとしたことから全てを失ってゆく都市生活者の孤独を捉えた「ミリアム」。


旅行中に奇妙な夫婦と知り合った女子大生の不安を描く「夜の樹」。夢と現実のあわいに漂いながら、心の核を鮮かに抉り出す、お洒落で哀しいショート・ストーリー9編。

夜の樹 (新潮文庫) | トルーマン カポーティ, Truman Capote, 川本 三郎 | 本 | Amazon.co.jp

 オー・ヘンリー賞を受賞し、「アンファン・テリブル(恐るべき子供)」と評されるきっかけとなった、19歳で掲載された『ミリアム』が読めます。

 

都会的な作品、田舎暮らしの作品の両方が読めて良いです。トルーマン・カポーティ初めの一作でも良いと思います。

 

 草の竪琴

草の竪琴 (新潮文庫)

草の竪琴 (新潮文庫)

 

 両親と死別し、遠縁にあたるドリーとヴェリーナの姉妹に引き取られ、南部の田舎町で多感な日々を過ごす十六歳の少年コリン。そんな秋のある日、ふとしたきっかけからコリンはドリーたちと一緒に、近くの森にあるムクロジの木の上で暮らすことになった…。

少年の内面に視点を据え、その瞳に映る人間模様を詩的言語と入念な文体で描き、青年期に移行する少年の胸底を捉えた名作。

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田舎の少年時代側の作品。めちゃくちゃ感傷的で、切なさにやられます。これは都会で暮らす大人には要注意の一作です。

 

いつまでも子ども側=反体制側でいたいと願っているはずなのに、いつのまにか保守的でおもしろみのない大人になってしまっていませんか?そんな人にザクザク刺さる作品です。

 

 『遠い声、遠い部屋』よりもわかりやすく、読みやすいです。 

 

 カメレオンのための音楽

カメレオンのための音楽 (ハヤカワepi文庫)

カメレオンのための音楽 (ハヤカワepi文庫)

 

 現実にあった、『冷血』を上回る残虐な連続殺人事件と刑事の絶望的な戦いを描く中篇「手彫りの柩」。表題作「カメレオンのための音楽」など、悪魔と神、現実と神秘のあわいに生きる人間を簡潔にして絶妙の筆致で描く珠玉の短篇群。


マリリン・モンローについての最高のスケッチといわれる「うつくしい子供」など人の不思議さを追及した会話によるポートレート集。三部からなる、巨匠カポーティ、最後の傑作を野坂昭如の翻訳で贈る。

カメレオンのための音楽 (ハヤカワepi文庫) | トルーマン カポーティ, Truman Capote, 野坂 昭如 | 本 | Amazon.co.jp

 晩年の名作と言っていいでしょう。

 

新たなジャンル、ノンフィクション小説のはしりとされる『冷血』を本作の14年前にカポーティは書き上げています。

 

この記事ではトルーマン・カポーティを知るための一作としてはリストにはいれていませんが、本書には『手彫りの柩』という、ノンフィクション小説が入っています。

 

これも相当読み応えがあっておもしろい。『事実は小説よりも奇なり』とは言いますが、事実を、よりおもしろく見せる技量が、カポーティにはあります。マリリン・モンローとの貴重な時間も見れて、上質な短編も入ったお得な一作です。

 

 おわりに

いかがでしたでしょうか。


偏愛する小説家の記事を書くのは楽しいですが、疲れますね。カポーティに興味を持っていただく人が少しでも増えますように!

 

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