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きゃすのキラキラブログ

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日本の美と抒情を感じる川端康成の15冊

小説
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人間の醜ささえ愛する美しさ。日本文学の頂点

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日本人初のノーベル文学賞受賞者川端康成。『雪国』の冒頭、

トンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。

はあまりにも有名ですね。

学校で読む教科書的な美しい描写はもちろんなんですが、結構えげつないこともたくさん描いているんです。売春や浮気、更に処女性への固執なんかは扱うのが難しいところ。

ゲスになってもおかしくないはずなんですが、でもでもでも(もう一回翻って)、美しいんです。

すごく単純に言ってしまうと、良い面を描いている、で終了なんです。突き詰めれば

  • 日本の死生観やもののあはれを表現し
  • 東洋思想を基礎とし
  • 良いも悪いもない

結果として、全てを包み込んでくれるんですよね。

読むときっと日本が、東洋が好きになる。そんな川端康成のおすすめ小説ベスト15をお届けしたます。

 

目次

 

略歴・受賞歴

大学時代に菊池寛に認められ文芸時評などで頭角を現した後、横光利一らと共に同人誌『文藝時代』を創刊。西欧の前衛文学を取り入れた新しい感覚の文学を志し「新感覚派」の作家として注目され、詩的、抒情的作品、浅草物、心霊・神秘的作品、少女小説など様々な手法や作風の変遷を見せて「奇術師」の異名を持った。

その後は、死や流転のうちに「日本の美」を表現した作品、連歌と前衛が融合した作品など、伝統美、魔界、幽玄、妖美な世界観を確立させ、人間の醜や悪も、非情や孤独も絶望も知り尽くした上で、美や愛への転換を探求した数々の日本文学史に燦然とかがやく名作を遺し、日本文学の最高峰として不動の地位を築いた。日本人として初のノーベル文学賞も受賞し、受賞講演で日本人の死生観や美意識を世界に紹介した。

□代表作

『伊豆の踊子』(1926年)
『抒情歌』(1932年)
『禽獣』(1933年)
『雪国』(1935年-1948年)
『千羽鶴』(1949年)
『山の音』(1949年)
『眠れる美女』(1960年)
『古都』(1961年)

□主な受賞歴
文芸懇話会賞(1937年)
菊池寛賞(1944年・1958年)
日本芸術院賞(1952年)
野間文芸賞(1954年)
ゲーテ・メダル(1959年)
芸術文化勲章(1960年)
文化勲章(1961年)
毎日出版文化賞(1962年)
ノーベル文学賞(1968年)
贈正三位勲一等旭日大綬章(1972年追贈)
川端康成 - Wikipedia

 

おすすめランキング

ランキング選定にあたっては以下をポリシーとした

  • 独自ランキング
  • 長編小説が中心だが、短編集も入れた
  • 川端康成未読者・初心者におすすめする気持ちで選定

 

それでは早速ランキングどうぞ!

 

15位 古都

捨子ではあったが京の商家の一人娘として美しく成長した千重子は、祇園祭の夜、自分に瓜二つの村娘苗子に出逢い、胸が騒いだ。二人はふたごだった。互いにひかれあい、懐かしみあいながらも永すぎた環境の違いから一緒には暮すことができない……。古都の深い面影、移ろう四季の景物の中に由緒ある史蹟のかずかずを織り込み、流麗な筆致で描く美しい長編小説。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001219

京都。唯一無二の存在感を持った古の都。その美しさが詰まりに詰まった作品。

日本の美しさを語る上で欠かせないのが四季、草花のあはれさです。それが存分に表現されていて、坐禅を組んで心が清らかに研ぎ澄まされるような心持ちになるでしょう。双子ちゃんを愛でながら読み進めてみるとまた味わい深くなるのでおすすめ。

睡眠薬中毒の中書かれたといういわくつき。

14位 美しさと哀しみと

ある中年小説家と、彼がかつて愛した少女で現在日本画家となった女、その内弟子で同性愛者の若い娘の織りなす美しさと哀しみに満ちた人生の抒情と官能のロマネスク物語
美しさと哀しみと - Wikipedia

こちらも睡眠薬中毒の中書かれた一作で、フランスのジョイ・フルーリー監督に映画化までされた作品です。ノーベル賞取るということで、世界中から注目されてるんですね。

タイトルどおり、美しく哀しい、これぞ川端康成、というテーマが詰まっていておすすめです。

13位 掌の小説

唯一の肉親である祖父の火葬を扱った自伝的な「骨拾い」、町へ売られていく娘が母親の情けで恋人のバス運転手と一夜を過す「有難う」など、豊富な詩情と清新でデリケートな感覚、そしてあくまで非情な人生観によって独自な作風を打ち立てた著者の、その詩情のしたたりとも言うべき“掌編小説"122編を収録した。若い日から四十余年にわたって書き続けられた、川端文学の精華である。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001057

美しい散文の嵐!川端康成の詩人としてのセンスに驚愕してください。

優れた散文の連発と言えば、不穏の書/フェルナンド・ペソアを思い出させます。ペソアのものは奇をてらった感が僅かにありますが、川端康成の方は純粋な美が詰まっている、そう感じざるを得ない作品集です。

数ページ程度のものばかりなので、一瞬で読めます。一日のおわりにランダムに一作読んで、心を清らかにして眠る、というのもありですね

12位 浅草紅団

昭和はじめの浅草を舞台にした川端康成の都市小説。不良集団「浅草紅団」の女首領・弓子に案内されつつ、“私”は浅草の路地に生きる人々の歓び哀感を探訪する。カジノ・フォウリイの出し物と踊子達。浮浪者と娼婦。関東大震災以降の変貌する都会風俗と、昭和恐慌の影さす終末的な不安と喧騒の世情をルポタージュ風に描出した昭和モダニズム文学の名篇。続篇「浅草祭」併録。
https://www.amazon.co.jp/dp/406196397X

本書のおかげで、浅草ブームを巻き起こし、浅草が沸いたそうです。川端康成は日本の魅力を描くのが本当に上手い。京都へ伊豆、鎌倉へ浅草も、どこへだって行きたくなってしまうんです。

娼婦や浮浪者など、たくさんのアウトサイダーたちを描いて、醜くいはずなんだけれどもどこかあこがれてしまう、魔力を持った作品です。

11位 反橋・しぐれ・たまゆら

“あなたはどこにおいでなのでしょうか”戦後間もなく発表された「反橋」「しぐれ」「住吉」3部作と、20余年を隔て、奇しくも同じ問いかけで始まる生前発表最後の作品「隅田川」。「女の手」「再会」「地獄」「たまゆら」他。歌謡・物語、過去、夢、現、自在に往来し、生死の不可思議への恐れと限りない憧憬、存在への哀しみを問い続ける、川端文学を解き明かす重要な鍵“連作”等、13の短篇集。
https://www.amazon.co.jp/dp/406196190X

後期の名作短編集。

生前最後の作品『隅田川』に連なっていくような作品も見られて、巨匠晩年の感性がしぶく光ります。物語の始まり方『あなたはどこにおいでなのでせうか』が有名。

旅する心を忘れられない大人におすすめ!

 

10位 舞姫

舞台の夢をあきらめた過去の舞姫波子と、まだプリマドンナにならない未来の舞姫品子の母子。もとは妻の家庭教師であり、妻にたかって生きてきた無気力なエゴイストの夫矢木と両親に否定的な息子高男。たがいに嫌悪から結びついているような家族の姿の中に、敗戦後、徐々に崩壊過程をたどる日本の“家"と、無気力な現代人の悲劇とを描きだして異様な現実感をもつ作品。 
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001073

川端康成の重要なテーマ『魔界』が発現した作品とされていて、重要な作品。

そんなことは脇においておいても、バレリーナの所作の細々とした詳細がいちいち美しいんです。徹底的に美しい。『魔界』はどんどん進化していくので、他の作品で味わいましょう。

ひたすら美しい細部に注目。

9位 女であること

 

恋愛に心奥の業火を燃やす二人の若い女を中心に、女であることのさまざまな行動や心理葛藤を描いて女の妖しさを見事に照らし出す。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001162

川端康成の描く女性は美しい。女性の描写でここまで読ませる人はなかなかいないと思いでしょう。

どうしてそこまで女性の心が、いや、人間の心が理解できるのだろうと感嘆させられます。読むたびに新たな女性についての発見がある一作。

8位 眠れる美女

波の音高い海辺の宿は、すでに男ではなくなった老人たちのための逸楽の館であった。真紅のビロードのカーテンをめぐらせた一室に、前後不覚に眠らされた裸形の若い女――その傍らで一夜を過す老人の眼は、みずみずしい娘の肉体を透して、訪れつつある死の相を凝視している。熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の名作「眠れる美女」のほか「片腕」「散りぬるを」。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001200

晩年の名作。これはもう文句なしに変態です。笑

川端康成自身、絶対に死を意識し、生(性)への渇望があった時代にかかれたんだろうなと。

美文で描かれる女性の瑞々しさ、が、かえって老人の死をくっきりと示しているように見えるのです。変わった芸術作品を鑑賞するのが好きな方におすすめ!

7位 千羽鶴

鎌倉円覚寺の茶会で、今は亡き情人の面影をとどめるその息子、菊治と出会った太田夫人は、お互いに誘惑したとも抵抗したとも覚えはなしに夜を共にする……。志野茶碗がよびおこす感触と幻想を地模様に、一種の背徳の世界を扱いつつ、人間の愛欲の世界と名器の世界、そして死の世界とが微妙に重なりあう美の絶対境を現出した名作である。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001235

難解と言われがちな川端康成のなかでも、読みやすい一作。

何故難解と言われがちかというと、川端康成はプロットをしっかり作りこんで、構成で読ませる、というタイプの作家ではないからです。ストーリーテラーとしてはもっと上手い作家はいくらでもいるでしょう。ただし天才的とも言える独特の美しい文体・ことば使いが最高に良いんですよね。

『千羽鶴』はストーリーもおもしろくできているので、初心者にも超おすすめの一作です。

 

6位 名人

悟達の本因坊秀哉名人に、勝負の鬼大竹七段が挑む……本因坊の引退碁は名人の病気のため再三中断、半年にわたって行われた。この対局を観戦した著者が、烏鷺の争いの緊迫した劇にうたれ、「一芸に執して、現実の多くを失った人の悲劇」を描く。盤上の一手一手が、終局に向って収斂されてゆくように、ひたすら“死"への傾斜を辿る痩躯の名人の姿を、冷徹な筆で綴る珠玉の名作。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001197

囲碁が単なる勝負事もしくはゲームではなかった時代(の終焉)を描いた名作。

芸術vs規制というものを小説という形で表現するとこうなるのか、と感嘆させられます(実話を元にしていますが)。

自由を、芸術を愛する全ての人におすすめ!

 

5位 山の音

深夜ふと響いてくる山の音を死の予告と恐れながら、信吾の胸には昔あこがれた人の美しいイメージが消えない。息子の嫁の可憐な姿に若々しい恋心をゆさぶられるという老人のくすんだ心境を地模様として、老妻、息子、嫁、出戻りの娘たちの心理的葛藤を影に、日本の家の名状しがたい悲しさが、感情の微細なひだに至るまで巧みに描き出されている。戦後文学の最高峰に位する名作である。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001111

約400ページと、川端康成は珍しい長編。

家族ってややこしいものですよね。誰かが誰かに甘えてしまって愛情が一方向に向かいがち。それでいて失って初めて、呆然とその大切さに気づくっていう。やっかいなもの。

この小説でも描かれているのは家族の話。こういう小説を読んでいると『昔は良かった......』なんて、年長者が言っているのは勘違いor生存バイアスなんだな、って思いますね。いつの時代も家族は大変。
 

4位 乙女の港

舞台は昭和初期、横浜のミッションスクール。新入生の三千子に、ふたりの上級生から手紙が届く。品よく儚げな洋子と、負けず嫌いで勝気な克子。ふたりの間で揺れ動く三千子だが―昭和12年、伝説の雑誌「少女の友」に連載された本作は一大ブームを巻き起こした。少女時代特有の愛と夢、憧れとときめきに満ち満ちた、永遠の名作。雑誌初出時の中原淳一の挿絵を全点収録。
https://www.amazon.co.jp/dp/4408550531

ここで変り種の小説を一本。少女小説『乙女の港』です。中里垣子に書かせたものに赤を入れて書き上げたとは言え、世界的文豪が少女向けに、小説を書くなんて懐が深いですよね。挿絵もかわいい。笑 

長編ですが、読みやすのでおすすめです。

3位 雪国

親譲りの財産で、きままな生活を送る島村は、雪深い温泉町で芸者駒子と出会う。許婚者の療養費を作るため芸者になったという、駒子の一途な生き方に惹かれながらも、島村はゆきずりの愛以上のつながりを持とうとしない――。冷たいほどにすんだ島村の心の鏡に映される駒子の烈しい情熱を、哀しくも美しく描く。ノーベル賞作家の美質が、完全な開花を見せた不朽の名作。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001014

日本文学屈指の美しい冒頭(トンネル......)部分が有名な一作。

主人公の、ペラペラで透明なレンズを通して見る女性が美しすぎます。私は『温泉宿』という短編のお雪という女性ががとても好きなのですが、本作の駒子も一、二を争うほど好きです。葉子は......もう語りだしたら止まらない一作!

難解と言われますが、それだけ色んな解釈ができるということ。行動やことばに、二重三重の意味を持たせているんですよね。なので文学作品としてではなく、娯楽小説として読んでも大変に楽しいです。

読んだ時の心理状態、恋愛関係の状態などによって読めば読むほど解釈が変わっていく、凄まじい魔力を持った小説です。

 

2位 みずうみ

美しい少女を見ると、憑かれたように後をつけてしまう男、桃井銀平。教え子と恋愛事件を起こして教職の座を失ってもなお、異常な執着は消えることを知らない。つけられることに快感を覚える女の魔性と、罪悪の意識のない男の欲望の交差――現代でいうストーカーを扱った異色の変態小説でありながら、ノーベル賞作家ならではの圧倒的筆力により共感すら呼び起こす不朽の名作である。 
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001189

さて、2位には問題作みずうみを。川端康成ファンの半分くらいから石を投げつけられそうなランキングになってしまいましたが、私はみずうみ、評価しています。

『意識の流れ』と呼ばれる手法があります。"ユリシーズ"のジョエイムス・ジョイスなどが多用したテクニックです。意識が移り変わっていく様を、特に説明をすることなく、自由に記述していくものなので、難解になりがちです。

それをここまで美しい文章で描かれたらもう失禁ものだと思うんですよね。たとえ内容に難ありだったとしても。

間違いなく文学好きはチェックしておくべき作品です。

  

1位 伊豆の踊子

紅葉の美しい、秋の伊豆を旅する学生が出会った、ひとりの踊子。いっしょに旅をしながら、学生は、まだ少女のあどけなさをのこした、かれんな踊子に、しだいに心ひかれていく。だが、みじかい旅はすぐに終わり、ふたりのわかれは、すぐそこにせまっていた。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101001022

1位は超有名作、伊豆の踊り子。完全に個人的な趣味です。
青年から大人になる貴重な一瞬を描いた作品が大好きで、本作はその瞬間が最高に美しく描かれています。

あとはいつものことですが、訪れる土地の描写、痺れます。

旅を主題とした小説を書いているわけではありません。しかし、あまりにも描写が美しすぎて、小説のモデルとなった土地や、川端康成ゆかりの土地へなぜか旅行へ行きたくなるんですよね。


他の収録作品のどれもが超重要作!まずはこれを読めばok!
 

おわりに

日本文学界で2人しかいないノーベル文学賞受賞者の川端康成。

彼ほど日本語の美しさ、日本の物悲しく美しい"もののあはれ"を描ききった作家はいないのではないでしょうか。

失われつつある日本の美しさ(もしくは醜さ)について理解を深めたい方は是非読んで見てください。

 

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